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宇多田ヒカル 音楽と言葉とわたし [宇多田ヒカル]

宇多田ヒカル 音楽と言葉とわたし

宇多田ヒカル15.GIF
宇多田ヒカルさん

デビュー20周年、
新作「初恋」に込めた思い

日本のポピュラー音楽の歴史を変えた
シンガー・ソングライターの
宇多田ヒカルさん。

彼女はいつも言葉とともにあった。

15歳でデビューした時も、
初アルバム「First Love」が
国内最大のヒットとなって
生活が一変してしまった時も、
母を亡くした時も。

デビュー20周年を迎える今年、
新人の小袋成彬さんの
プロデュースを初めて手がけた。

6月に新作「初恋」を発表し、
年末には約12年ぶりとなる
ツアーを行う。

そんな宇多田さんに、
いできた言葉について、
20周年を迎える心境について、
じっくり語ってもらった。
(以下、敬称略)


20年続けるということ

宇多田ヒカル16.GIF
宇多田ヒカルのあゆみ

「よく20年もずっとやってきた。
感慨深いです」

何かを尋ねると、
丁寧に言葉を選び、
しかし率直に話す。

宇多田は、黒い瞳が印象的な
穏やかな女性だった。

デビュー曲「Automatic」が
いきなりヒット。

「First Love」は767万枚を
売り上げて、いまだに
歴代最多売り上げアルバム
であり続けている
(オリコン調べ、4月23日付現在)。

共感しやすくカラオケで
歌いやすい「小室サウンド」が
世を席巻した中、
宇多田は鮮烈な歌詞を、
心を揺らすビートに
乗せて歌い上げた。

確固とした「個」を
持つ表現者がシーンの
中心に躍り出たのだ。

ただ、幸せなことばかりでは
なかった。

「環境の変化や、
それによって起きた
様々なことがすごくつらくて。

無理だと後悔したことも
ありました」

それでも続けたのは
「やらざるを得なかったん
だろうな」と、
遠い目をした。


「スタッフ、父親、母親、
音楽を聴いてくれる人。
いろんな人が音楽を
続けられる環境を
作ってくれました」

これまで書きためた日本語詞を、
自ら3期に分けている。

宇多田にとって音楽を作ることは
「明るみに出ていないものを
探しに行く作業」で、
第1期はこれを無意識に
行っていた時期。


それを意識的に、
より深く探しに行ける
ようになったのが第2期。


活動休止を経て、
さらに己をさらけ出し、
日本語詞にこだわりを
持つようになったのが
第3期だ。

第1期 なんとなく


母親は歌手の藤圭子、
父親は音楽プロデューサーの
宇多田照實。

幼少の頃から親が作詞作曲したり、
録音したりするのを当たり前
のように見て育った。

12歳で親の勧めで英語で
作詞作曲を始め、14歳の頃、
「日本語でやってみたら」
と言われて、初めて書いたのが、
「First Love」に収録した

「Never Let Go」。

「真実は最高の嘘で隠して 
現実は極上の夢でごまかそう」
という大人びた歌詞で、
渋く退廃的な雰囲気も漂う。

なぜこんな曲が書けたのか?

「他者を通して世界を
理解しようとしていた。

その他者が、私にとっては
親だった。

親たちの恋愛を自分なりに
かみ砕いて理解しようと
していました」

とはいえ、当時は
ティーンエージャー。

ある曲には照れくさい
思い出も。

「少し付き合っていた
男の子の友達に
『あの曲ってあいつの
ことだよな』と
言われたことがある。

違う、やめてほんと
恥ずかしい!って感じた」
と笑う


第2期 意識して

宇多田ヒカル17.GIF
「ULTRA BLUE」(2006)、「桜流し」(2012)


経験を重ねるにつれ、
作詞作曲に加え、
編曲やプロデュースも
自ら手がけるようになる。

「無意識にあるものを
すくい上げる作業」を
意識的にできるように
なってきた。

この頃、「traveling」や
「SAKURAドロップス」
などのヒット曲を出しているが、
第2期を象徴する歌詞として
挙げるのは、
4作目「ULTRA BLUE」
(2006年)に収録した
「日曜の朝」だという。

「お祝いだ、お葬式だ 
ゆっくり過ごす日曜の朝だ」と、

家族や社会で求められる
役割に左右されない
本来の自分の姿を淡々と
歌った。

「すごく『私だなあ』って
感じられて、好きですね」


第3期 こだわり

10年、ブログに
「『人間活動』に
専念しようと思います」
とつづり、活動休止に入った。

電話の契約をしたことも、
飛行機や新幹線のチケットを
買ったこともないまま
20代後半になり、
音楽だけを作り続ける
状態をアンバランスだと
感じるようになっていたのだ。

そこで、ロンドンに移住し、
不動産屋で部屋を探し、
水道や電気を契約、
ゴミを出す日を確認――。

当たり前の営みを自ら行い、
音楽業界以外の様々な
人と触れ合った。

日本語に触れる機会も
小説や詩に限られた。

「人間活動」を経て、
作風は劇的に変化する。

活動休止中だったが、
アニメ映画のテーマソング
として「桜流し」を発表した。

「開いたばかりの花が散るのを 
見ていた木立の遣る瀬無きかな」
という歌詞。

「それまで絶対書かなかった、
ちょっと古い感じの表現」を、
情感豊かに歌い上げた。

13年に人生の一大事に襲われた。

母・藤圭子の死だ。

「心に浮かぶのは、
笑っている彼女――
娘であることを誇りに思います」
とブログに記した。

その頃、サウンドは血肉を
感じさせるタッチに
変貌へんぼうを遂げていたが、
「母の死という究極の現実。

ドーンという一突きで、
地に足が着いた」という。

約2年ぶりとなる新作の題名は
「初恋」にした。

「1作目から約20年。

私の核にある、
表現しようとする
主題はずっと
一貫していること。


表現者としてこれだけ
変わったこと。

同時に見えてすごく
スッキリするタイトルです」


作曲後に歌詞

宇多田ヒカル18.GIF
シングル「Automatic/time will tell」(1998)、
「花束を君に」(2016)

宇多田の歌詞には、
いつも驚かされてきた。

しかしながら、
曲作りのプロセスで
歌詞は最後。

最初から何かを書こうと
思って作詞することはない。

「何か言葉じゃないものがあり、
形にしようとする時、
それが絵になる人もいるし、
ダンスの人もいる。
私は一度音楽を挟みます」

ピアノやギターなどで
作った曲を聴きながら
イメージを膨らませる。

「ここのメロディーは
『あ』で終わりたい、
ここは小さい『ッ』」。

俳句や短歌のように、
言葉になる前の細かい
“制約”を増やしていく
うちに
「私が言いたかったのはそれか」
と思い至る。

16年の「Fantome」では
母への思慕を歌に昇華させた。

「花束を君に」は
「普段からメイクしない
君が薄化粧した朝」と、
死に化粧を想起させる
痛切な言葉でつづった。

「シンガー・ソングライターって、
簡単に言うと歌人ですよね」

劇的な歌詞は、実話でも作り話
でもないという。

例えば「Automatic」の
「七回目のベルで 
受話器を取った君」、
「花束を君に」の
「今日は贈ろう 
涙色の花束を君に」と
いった印象的な歌詞について。

「7回目のベルで相手が
受話器を取ったことはないし、
母親に涙色の花束を
贈ったこともない。

ディテールを入れることで、
そのまま説明する以上の
情報量で表現できる。
それが詩です」

(文 読売新聞・鶴田裕介、写真 守谷遼平)



大手小町(OTEKOMACHI)5/17(木) 11:51配信

最終更新:5/17(木) 19:09

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-00010000-otekomachi-ent
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-00010000-otekomachi-ent&p=2
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180517-00010000-otekomachi-ent&p=3


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宇多田ヒカル、5年ぶりテレビ出演決定 [宇多田ヒカル]

宇多田ヒカル、5年ぶりテレビ出演決定

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シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルが、
5年8ヶ月ぶりにテレビ出演することが決定した。
9月22日のNHK
『SONGSスペシャル 宇多田ヒカル』
を皮切りに、30日にフジテレビ系
『Love music 特別編 宇多田ヒカル
~ライナーノーツ~』
10月初旬に日本テレビ系
『NEWS ZERO』
に登場する。

宇多田がテレビ出演するのは、
2011年1月15日に放送された
NHK総合のドキュメンタリー番組
『宇多田ヒカル ~今のわたし~』以来。
3番組とも8月末に日本で収録された。

NHK総合『SONGSスペシャル 宇多田ヒカル』
(後10:00~10:48)は、通常の30分番組枠を
拡大して放送。
10月1日に最終回を迎える
朝ドラ『とと姉ちゃん』主演の
高畑充希がナレーションを務める。
宇多田が同ドラマの主題歌「花束を君に」を
テレビで初歌唱するほか、約8年半ぶりに
発表するオリジナルアルバム『Fantome』
(28日発売、全11曲)の中から
「道」「花束を君に」「ともだち」の
3曲を初披露する。

番組ではコピーライターの糸井重里氏が
宇多田と初対談。

活動休止に至った経緯、
初めて「日常」を手にした休止中の出来事、
現在の創作活動に至るまでを直撃した。

「今までになく率直で、今までになく
肉体的になった」
という新曲たちのコンセプトには、
3年前に亡くなった母・藤圭子さんへの
強い思い、そして昨年7月に出産した
第1子男児の存在もあった。

番組後半では、歴代の代表曲を振り返る
トークコーナーも。

当時の映像も交えながら自らの
歌詞や歌声について語り、
創作の変遷をたどるほか、
井上陽水が
「宇多田ヒカルの魅力を語る」
ビデオメッセージも紹介される。

フジテレビは音楽番組『Love music』
(毎週金曜 後11:30~11:58)の
特別編として30日に放送。

女優・長澤まさみ、
シンガー・ソングライターのハナレグミ、
水曜日のカンパネラのボーカル・コムアイ、
ラジオDJのクリス・ペプラーがそれぞれ、
「好きな曲」「楽曲の魅力」「詞の魅力」
「宇多田との思い出」などを語り、
最後に宇多田に聞いてみたいことを質問し、
そのVTRを見た宇多田自らが回答する。

日本テレビは報道番組
『NEWS ZERO』の10周年特別企画を
10月初旬に放送予定。

メインキャスターの村尾信尚氏と
対談するほか、番組テーマ曲として
提供した「真夏の通り雨」を
パフォーマンスする。

オリコン 9月5日(月)4時0分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160904-00000309-oric-ent

宇多田ヒカル「私という存在は母から始まったんだから」、待望のニューアルバム『Fantome』をリリース [宇多田ヒカル]

宇多田ヒカル
「私という存在は母から始まったんだから」、
待望のニューアルバム『Fantome』をリリース

宇多田ヒカル2.GIF


日本中の多くのリスナーが待っていた。

決して大げさな表現ではなく
そう言い切っていいだろう。
2010年から続いていた人間活動期間を経て、
ついに宇多田ヒカルが8年半振り、
6枚目となるオリジナルニューアルバム
『Fantome』(ファントーム)を9月28日に
リリースする。

“幻“、“気配“などを意味する
フランス語をタイトルに冠した
このアルバムは、彼女が2013年に
逝去した自身の母へと捧(ささ)げた
一枚である。

新章へと踏み出す第一歩に込められた、
彼女のさまざまな想いを聞いた。

■「母を気配で感じるのなら、それでいい」

――およそ6年振りの活動再開です。

宇多田:休止を発表した時、
いろんなところで『なんで?』と聞かれて、
どう説明をしたらいいか
よく分からなかったんですけど。
要は惰力じゃないけれど、
物事って動いていると止めにくいし、
止まっていると動かしにくくなる
じゃないですか。
何だかすごい勢いで周りに後押しされて
ポンってデビューしちゃって、
そこから宇多田ヒカルがぶわーっと
大きくなってしまい。
大きくなればなるほど、大きなトラック
みたいにどんどん舵取り(かじとり)が
出来なくなって、自分で方向を
選べなくなっていたんです。
それで『これはヤバイな』と
思って休止を決めました。

――そして約8年半振りのニューアルバムです。
なぜ『Fantome』というタイトルに?


宇多田ヒカル3.GIF


宇多田:今回のアルバムは亡くなった母に
捧(ささ)げたいと思っていたので、
輪廻(りんね)という視点から
“気配“という言葉に向かいました。

一時期は、何を目にしても母が見えてしまい、
息子の笑顔を見ても悲しくなる時がありました。
でもこのアルバムを作る過程で、
ぐちゃぐちゃだった気持ちがだんだんと
整理されていって。
「母の存在を気配として感じるのであれば、
それでいいんだ。
私という存在は母から始まったんだから」と。

そうしてタイトルを考えていくうちに、
今までのように英語というのはイヤで、
かといって日本語で浮かぶ言葉はあまりに
重過ぎて、「フランス語が合うね」と
いう話になって。
そこからいろいろと模索した末に、
“幻“や“気配“を意味する“Fantome“と
いう言葉に突き当たり「これだ!」と
思いました。

――今年の4月に配信限定でリリースされた
「花束を君に」、「真夏の通り雨」
(※『Fantome』に収録)に
寄せられたリスナーからのリアクションが、
アルバムの仕上がりに大きく作用したと
聞いています。

宇多田:あの2曲を聴いて、
「もしかしてお母さんのこと?」と
気付いたリスナーの方がたくさんいて。
しかも同情とかではなく、
その前提を踏まえた上で、
共感というか感情移入をしてくれたみたいで。
これまでは自分の曲に対して、
そこまで自分の予想外の反応が上がったこと
もなかったし、それが良い評価でも
悪い評価でも、それが次の作品に響くという
ようなこともほとんどなかったんですよ。
でも、この2曲への反応は、
私にとってすごく
ポジティヴに感じられるもので、
今までになくこのアルバムに
影響を及ぼしましたね。
レコーディングの後半で、残りの歌詞を
書くための勇気をもらいました。
(この2曲と「桜流し」を除く)アルバムの
ほとんどの歌詞は、そこからの約3カ月で
一気に書き上げました。
これまでで最短記録です。
まあ「花束を君に」、「真夏の通り雨」は
題材がデリケートだった分だけかなり時間
もかかったし、ここまでが8年半とか
長かったんですけど(笑)。

そして、みんなが「お母さんのこと」だと
分かっているからこそ、絶対に母の顔に
泥を塗らないアルバムにしなければという
責任も強く感じていました。

――「花束を君に」はNHK連続テレビ小説
「とと姉ちゃん」の主題歌のために
書き下ろされた曲でしたね。

宇多田:国民的な番組なので、
いつにも増して意識的に間口を広げて
作詞をしました。
オフコースとかチューリップ、
それとエルトン・ジョンの『Tiny Dancer』
(※『可愛いダンサー~マキシンに捧ぐ』。
1971年)をイメージして、軽やかな感じの
“開いた“曲を目指しました。

いろいろなリスナーの、いろいろな状況に
当てはまってくれたらいいなあと。

――一方、『真夏の通り雨』は、
文学性の強い歌詞です。
そして日本語の美しさにハッ
とさせられます。

宇多田:この曲は、書き始める前から
日本語だけを使った歌詞にしようと
決めていました。
日本語で歌う意義と、日本語で歌う
“唄“を追求したかった。
英語が入る余地もない曲だと思ったし、
今の自分の感覚だと、英語を使うことが
“逃げ“に感じられて。ロマンを感じたり
酔いしれたりできる英語ではなくて、
自然と染み入る日本語であって、
尚も美しいと思えるものに
したかったんです。

――アルバム全体の歌詞も、わずかな
英語と仏語を除き、ほぼ日本語で
書かれています。

宇多田:制作の始めの段階から、
今回のアルバムは“日本語のポップス“で
勝負したいと意識していました。
これまでの歌詞における英語のフレーズは、
伝えたいことを直接的に歌いたくない時の
照れやお色付けに用いていたんです。
でも今回は本当に必要な言葉だけを
日本語で並べて、自分のなかで
美しいと感じられる歌詞だけを
歌いたいと思いました。

――フランス在住の
ジュリアン・ミニョー氏が
撮影した、モノクロのポートレイトによる
ジャケット写真の美しさも印象的ですね。

宇多田:ありがとうございます。
彼とはもともと知り合いだったんです。
出会った頃はまだ駆け出しだったのに、
久しぶりに彼のホームページを見たら
売れっ子になっていて、
写真も良くなっていて(笑)。

これまでのジャケットはずっと
ディレクターさんからカメラマンの
候補を挙げてもらっていたんですが、
今回は初めて自分から
「この人いいと思うんだけど、どう?」
と提案して。
自分で連絡を取り、
スケジュール調整や撮影場所の
やりとりなんかも二人で直接話して決めて、
パリで撮影しました。

初めて、肩書や仕事抜きで、
ただの女の子として出会った人に
ジャケットを撮ってもらえました。
とても自然な、縁があったという
人間的な流れで、自由を感じられる
撮影でした。
それもまたアルバムへの自信に
つながりました。

■「自分に課していたセンサーシップが
取り払われた」
――アルバムは「道」というダンサブルな
ナンバーで幕を開けます。
お母さんのこと、再婚、出産といった
活動休止中の出来事を経た宇多田さんが、
まさにいま抱いている率直な想いが
凝縮された、宣誓のような歌詞ですね。

宇多田:そう。
「私は元気です。行きますよー!!」って
感じで(笑)。
この曲の作詞の過程でアルバムの主題を
自分なりに捉えることができて、
言いたかったことが言えてスッキリとしました。

――約8年半振りということもあり、
これまでのアルバムと比べて、
声も歌詞もグッと強く、優しく、
そして大人になったという印象を受けました。

宇多田:この「道」以外はアレンジも
極力少なめのトラックにして、
声と言葉がはっきりと聴こえるように
心がけました。

「言葉が聴き取れないと意味がない」
くらいの気持ちだったので、
歌い方も前より丁寧になったと思います。

――そう思います。2曲目の「俺の彼女」という
曲はこれまでになくアダルトですね。

宇多田:これは活動休止前から温めていた
曲でした。
デモの段階では冗談半分の歌詞だったんだけど
“俺の彼女“の部分はキープしたいな
と思って(笑)。
デビューした年齢が若かったせいもあって、
活動休止前までは性に直接触れるのって
タブーな気がしていました。
エロスを匂わせることはあっても、
ダイレクトな表現は避けてきた。
でも今回からはPG13からR指定になった
というか(笑)、これまで自分に課していた
いろいろなセンサーシップ(=検閲)が
取り払われて、羽ばたくぐらい自由に
言葉を選べました。
“抱き合う“なんて言葉も自然に使えるように
なったし、“死“と“生“に向き合うことで、
エロスとは違う、“生“の然るべき一部である
“性“に初めて触れることができました。

――この曲の歌詞ではアルバムタイトル同様に
フランス語が使われています。

宇多田:何の前触れも計算もなくフランス語が
出て自分でも少し驚きました。
クールで尚かつ“艶っぽい“響きが
欲しかったのかも。
英語よりフランス語のほうが、
発声方法からして色っぽいから。
そう、ちょうどこの曲の歌詞を書き上げた
直後からアルバムタイトルを考え始めました。

――ではもういくつかの曲についても
聞かせてください。
「人魚」は、これまでの宇多田さんの
曲の中でも珍しい類の、素朴な響きを
持ったアコースティックなナンバーですね。

宇多田:母が亡くなった後、
「もう音楽を作れないかもしれない」
と思っていた頃に、ギターを弾いていたら
ふとできてしまった曲でした。

これも「美しい日本語の曲を作ろう」と
いう高い理想を持って臨んだおかげで、
作詞にすごく苦労しました。
一年ほど悩んで、理想に届かないと
あきらめかけていた時、
急にぶわっと言葉が溢(あふ)れてきました。
達成感も強くて、いま最も誇らしく
思っている曲です。

実は「花束を君に」のPV
(※切り絵作家の辻恵子さんの作品で
制作された)で、人の姿をして町で
暮らしていた女性が、突然海へ向かい、
そこへ飛び込むと本来の人魚の姿に戻るという
シーンがあるんですけど、その絵コンテを
見せていただいた時、まるで演出家さんが
私を慰めてくれているようで、
見透かされ、温かく支えられているような
感覚を覚えて、何より「花束を君に」を
受け入れてもらえたと思えて、
涙が止まりませんでした。

そこから人魚のモチーフを引き継いで
できた曲です。

――「荒野の狼」では、聴こえてくる吐息に
耳を奪われます。

宇多田:アルバム制作の終盤に、
もうネタが尽きてどうしようって時に
勢いでパッとできました(笑)。
知人とお茶をしていて、
互いにヘルマン・ヘッセが好きだという
話から「荒野のおおかみ」という小説を
思い出して、そこから歌詞につながって
いきました。

メインの歌入れが全て終わった後に取り掛かって、
この吐息でアルバム全体のレコーディングを
締め括りました(笑)。

「花束を君に」の冒頭でも、何か足したくて
吐息を入れました。
“息“を使った表現は、実はこのアルバムの
ちょっとした裏テーマでした。

■ 「こんなに「聴いてほしい!」と
思うのも初めてかもしれない」

――アルバムは「桜流し」
(映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の
テーマソング)で幕を閉じます。

宇多田:この曲は最後にしか置きようがなかった。
アルバムの曲順も、これまでは製作チームに
打診されたものをみんなで議論しながら
固めていくという感じでしたが、
今回は初めて自分で曲順を考えました。
そういう点でも、いろいろな意味で、
私自身、自分のプロジェクトのリーダーと
いう立場に進んで納まったと言える制作
となりました。

母を亡くしたことや自らが母親になったことで、
急激に大人にならざるを得なかった。

でも自分が進むべき道は誰にも教えて
もらえないけれど、自分を遮るものは
何もないんだという意識で、
必死に前へ前へと進んだ経験から、
今までにない自信を得ることができました。

――表現が直接的な歌詞もそうではない
歌詞も含めて、“お母さん“という
出発点とモチーフが通底している。
それでいて、極めて私的な全ての曲が
多くの人と共有可能な高いクオリティの
ポップソングへと結実しています。
その手腕にただただ感心させられました。

宇多田:でも“お母さん“って最もポップな
題材じゃないですか。
多分ほとんどの人にとっても、母親か、
もしくはそれに当たる存在がいるわけで、
そこから自分の核なる部分や、
自分だけの世界を形成していく。

それってめちゃくちゃポップだと思うんですよ。

――たしかにそう言われると目の前が
開ける思いです。

宇多田:だから「花束を君に」を好意的に
受け入れてもらえたんじゃないかという
気もするし。
だからいまはリスナーさんに対して、
これまでで一番強く信頼を感じています。

――では最後に。宇多田さんにとって、
『Fantome』とは、どんな存在のアルバムに
なりましたか?

宇多田:“受け入れて、受け入れられる“
アルバムでした。

セルフセラピーじゃないですけど、
自分自身「道」を繰り返し聴いているうちに
「悲しくない。もう大丈夫だ」と
思えてきました。

こんなに「聴いてほしい!」と思うのも
初めてかもしれないってくらい(笑)、
すごく聴いてほしいアルバムになりました。

何かしらの想いが届いて、
皆さんに受け入れてもらえたらうれしいです。

音楽は今後も続けていくつもりですが、
こんなアルバムはもう二度と作れない
だろうなと思っています。

(取材・文/内田正樹)

(プロフィール)

1983年米ニューヨーク生まれ。
1998年12月のデビューシングル
「Automatic/time will tell」から
ミリオンヒットを記録。
翌年3月に発表した1stアルバム
「First Love」は765万枚を売り上げ、
日本国内のアルバムセールス歴代1位を獲得。
その後リリースしたアルバムのほとんどが
ミリオンヒットを記録した。

2010年から人間活動に突入していたが、
今年4月、「花束を君に」、「真夏の通り雨」の
配信限定リリースから本格的に活動を再開させた。

9月28日、通算6枚目となるオリジナルアルバム
『Fantome』をリリースする。
※「Fantome」の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記。

トレンドニュース(GYAO) 9月2日(金)11時0分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160902-00010000-trendnewsn-musi&p=1


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宇多田ヒカル 3年半ぶりの新曲に絶賛の声 他を圧倒する“凄み” [宇多田ヒカル]

3年半ぶりの新曲に絶賛の声 他を圧倒する宇多田ヒカルの“凄み”


宇多田ヒカルの新曲「花束を君に」「真夏の通り雨」
4月15日に配信をスタートした。



新曲としては2012年11月に配信限定で発表された
「桜流し」以来約3年半ぶり。

2010年に宇多田自身によって発表された
「アーティスト活動」の休止と「人間活動」への
専念は様々な反響を呼んだが、それから5年。

再び音楽の世界に降臨した歌姫は果たして
どこへ向かうのか?

「人間活動」で得たものとは何か、
最新曲を通して紐解いていく。

【特集】再始動の宇多田ヒカルは
再び社会現象を起こせるのか?

◆母となり慈しみに満ちた愛情を感じさせる“柔らかな歌声”

「花束を君に」(NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』主題歌)と
「真夏の通り雨」(日本テレビ系『NEWS ZERO』テーマ曲)は
いずれもがテレビ番組のテーマ曲として既に多くの人の
耳に届いていると思うが、その歌声を聴いて感じる
第一印象は「歌声の柔らかさ」だ。

ピアノを基調としたシンプルなアレンジに乗って
滑り込んでくる導入部から受けるのは、
まろやかさが際立つこれまでにない歌唱である。

2012年の「桜流し」を発表後、「人間活動」中に
宇多田は“母”となった。その経験は間違いなく
彼女の音楽に大きな変化をもたらしただろう。

そのひとつが“慈しみ”に満ちた愛情を
感じさせる歌声かもしれない。

ネットでも、「お母さんって声に変わってて印象が
全然違っててちょっとびっくり」、
「天才少女が天才お母さんになったなーって実感」と
いった声が寄せられていた。

初期の彼女の歌声にはキレがあり、
それが日本人離れしたグルーブと
結びついて多大なインパクトを
植え付けていたといえるが、
今作では包み込むような懐の大きさと
たくましさ、優しさを兼ね備えた
“大人の女性”の声が耳に心地いい。

前出の「桜流し」や2004年発表の
「誰かの願いが叶うころ」なども
ピアノの音とともに宇多田のボーカルが
聴こえてくる構成だが、それらが憂いを
湛えた表情を見せているのに比べて、
今回の2曲では“ぬくもり”を
感じずにはいられない。

これが、「人間活動」のもたらしたものなのか
どうかは定かではないが、少なくとも、
「世俗」というこれまで
(彼女にとっては生まれたときからずっと
「音楽」がすぐ隣で呼吸をしていた環境
だったと思う)とは全く異なる世界の中で、
心身をリセット、リフレッシュさせ、
さらに新しい人生を進むことになった
「経緯」が連れてきたものといえるだろう。

◆その歌声は被災者の心にも深く浸透
「ヒッキーの歌聴いて、安心するよ」

ただ、その包み込むようなぬくもりとは裏腹に、
曲のテーマはせつない。

「花束を君に」についてツイッターでは、
「何度聴いても涙が止まらない」
「温かく、寂しい歌」
「死の歌だと気づいたときの衝撃」
「始まりの一行が胸に刺さってしょうがない」
のように、歌詞を読み込めば読み込むほどに
胸に熱いものがこみ上げてくる。

「人間活動」期間に彼女は“最愛”の人を
喪うという哀しみにもさらされた。

今回の2曲の歌詞に共通して「さよなら」と
いう言葉(「真夏の通り雨」では「サヨナラ」)が
使われているのは、そうした出来事と
無縁ではないのだろう。

上述したように、ここには限りない“慈愛”が
満ちている。

大人の女性へと姿を変えた宇多田ヒカルが
“等身大”のままで歌いかけてくる。

だから、聴く者は温かいものに包まれ、
感動の波に飲まれる。

「Automatic」のようなセンセーショナルな曲での
再登場を予想した人も少なくないだろう。

また、「First Love」のような初期の頃を
彷彿とさせる楽曲を望んだ人もいただろう。

しかし、彼女は敢えて「人間活動」で学んできた
自分を“素”のままで作品にした。

「人間活動」とは「人」を知り、
「自分」を見つめること――彼女は何も言わないが、
この2曲を耳にしていると、そのように
感じられてしょうがない。

これまでも、ツイッターを通して自身の声を
届けてきた宇多田ヒカル。

新曲の告知をした際、16日未明に熊本県で
発生したマグニチュード7.3の大地震での被災者に対し、
ツイッターでメッセージを送った。

その宇多田の呼びかけに、「熊本にパワーを贈って!」
「ヒッキーの音楽に元気付けてもらえると思う」と
いった声や、実際に被災者からも
「地震怖かったけど、少し元気出た!!」
「怖いよ。でも、ヒッキーの歌聴いて、安心するよ」と
宇多田の歌に元気をもらった人も少なくない。

今回、2曲同時に新曲を発表した宇多田に対し、
「復活した宇多田ヒカルがやっぱ天才!」と
いった声が多い。

「人」としてのスタンスを構築させた彼女は、
人々の感情を自在に操る「武器」を手に、
より「人間の深遠」を究めるべく、
次なる一歩を踏み出そうとしているのかもしれない。
“凄み”すら増した宇多田ヒカル、
まさしく孤高の存在である。



オリコン 4月19日(火)8時40分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160418-00000338-oric-ent

宇多田ヒカル、5年ぶり再始動曲初OA NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』主題歌&『NEWS ZERO』テーマ [宇多田ヒカル]

宇多田ヒカル、5年ぶり再始動曲初OA 
『とと姉ちゃん』主題歌&『NEWS ZERO』テーマ

シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルの新曲2曲が、
きょう4日に解禁される。

NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』
(月~土 前8:00 総合ほか)の主題歌「花束を君に」、
日本テレビ系報道番組『NEWS ZERO』
(毎週月~木曜 後11:00、金曜 後11:30)の
新エンディングテーマ「真夏の通り雨」が、
それぞれの番組で初オンエア。

5年4ヶ月の“人間活動”期間を経て、
きょうから再始動する宇多田は、
新アーティスト写真も公開した。

宇多田ヒカル、朝ドラ主題歌は「花束を君に」

2曲とも今年レコーディングされ、
ミックスエンジニアは昨年度グラミー賞で4部門、
今年度アカデミー賞で最優秀歌曲賞を受賞した
サム・スミスを手がけたことで知られる
スティーブン・フィッツモーリスを迎えて初タッグ。

宇多田ならではの豊かなメロディーや
研ぎ澄まされた歌詞に加え、
表現力を増した歌声にも期待が高まる。

『NEWS ZERO』の佐藤圭一プロデューサーは
「『真夏の通り雨』の曲のデモを聞いた時、
鳥肌が立ちました」と感激。

「以前と変わらない伸びやかな声と、
また深みを増した宇多田さんの言葉の一つ一つ。
NEWS ZEROが伝えるのは素敵な話ばかりではなく、
誰か大切な人を失ってしまう事件や事故も
毎日のように起きます。
それでも明日を前向きに生きていく、
少しでも良い社会を作っていく。
宇多田さんの曲を聴きながらZEROを見終える人が、
そんな気持ちで1日を終えてくれたら、
と思っています」と期待している。

新しいアーティスト写真は、沖縄県生まれで、
第40回木村伊兵衛写真賞など数々の賞を受賞した
写真家・石川竜一氏によって撮影された。

「真夏の通り雨」「花束を君に」のCDはともに発売未定。

15日からフルサイズのダウンロード販売が開始される。

オリコン 4月4日(月)0時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160402-00000310-oric-ent
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