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2018年は松坂桃李イヤーだ!映画『不能犯』『娼年』! [2018年は松坂桃李イヤーだ]

2018年は松坂桃李イヤーだ!
映画『不能犯』『娼年』!

2018年は松坂桃李2.GIF
(C)宮月新・神崎裕也/集英社・2018「不能犯」製作委員会

日本映画界の若手男優を
リードし続けながら
疾走中の松坂桃李。

昨年も
『彼女がその名を知らない鳥たち』
でヨコハマ映画祭助演男優賞を受賞
(先日行われた授賞式では、
数えきれないほどの女性ファンが
花束を渡すべく、ステージ下に
殺到したとのこと!)。

NHK朝のテレビ小説『笑ろてんか』
でもヒロインの夫
(先日、惜しくも亡くなってしまい、
残念!)を好演していた彼、
そんな勢いに乗せて、
2018年も早くも賞レース必至の
快作秀作が続々と
お目見えとなります……

《キネマニア共和国~
レインボー通りの映画街vol.286》

2月1日公開の『不能犯』と、
4月6日公開『娼年』。
この2本、

どっちもすごい!

面白い!


逮捕不可能な闇の仕事人と
警察の闘いを描いた『不能犯』

2018年は松坂桃李.GIF
(C)宮月新・神崎裕也/集英社・2018「不能犯」製作委員会

まず『不能犯』ですが、
「グランドジャンプ」に
連載の同名コミック
(原作・宮月新/画・神崎裕也)を
原作に、『ノロイ』(05)
『貞子VS加椰子』(16)など
ホラーやダーク・ファンタジー作品に
定評のある白石晃士監督が
メガホンをとったものです。

その内容は、電話ボックスに
殺人依頼を残すと願いを
叶えてくれる謎の
黒いスーツ姿の男・宇相吹正
(うそぶき・ただし/松坂桃李)と、
彼に翻弄される多田友子刑事
(沢尻エリカ)ら警察の
スリリングな
駆け引きを描いたもの。

この宇相吹、すべての標的を確実に
抹殺するのですが、そのやりかたは、
いわゆるマインド・コントロールを
用いて自滅に追い込むものなので、
犯罪としての証拠が残らず、
捕まえることが不可能な
“不能犯”なのです。

しかし依頼者もまた、
その殺意が純粋なものでないと、
恐ろしい事態を招いてしまいます。

もはや超能力を持った
人間というよりも、
悪魔か死神かといった宇相吹を、
松坂桃李が背筋が凍るほどの
存在感で演じ切っています。

もともと彼の出世作でもある
TV『侍戦隊シンケンジャー』でも、
主格のシンケンレッド=殿様役で
ありながら、どこか影を
引きずった個性には当時から
刮目していたものでした
(事実、その正体は殿様の
影武者だった!)。


そういった彼の個性は
『日本のいちばん長い日』で
クーデターを起こそうとする
青年将校の狂気や、
『彼女がその名を知らない鳥たち』の
クズ男などを体現したとき、
すさまじいまでの“陰”の
存在感を発揮します。

しかもその“陰”はどことなく
常に純粋に映えるため、
見ていてエクスタシーすら
感じさせるものがあります。

いわゆる現在版・必殺仕事人的な
粋を越えた闇の使い魔として、
人間の愚かさを試し続けるかの
ような宇相吹と、あくまでも凛
とした風格で彼と対峙していく
多田刑事との闘いも実に見事。

スリラーであり、
ダーク・ファンタジーであり、
そして人間の心の闇を描いた
エンタテインメントとして、
この冬必見の快作たりえてるのです。

どんなに暖房の利いた映画館の中、
暖かい格好でご覧になっても、
次第に背筋が凍ること間違いなし!



女性たちの心に優しく寄り添う
純粋な青年娼夫を描いた『娼年』

2018年は松坂桃李1.GIF
(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会


もう1本の『娼年』で
松坂桃李が演じるのは、
『不能犯』とは真逆の
心優しい青年です。

しかし、その心が純粋であると
いうところは2作とも共通して
いるのかもしれません。

つまりは松坂桃李の個性とは、
その純粋感にあるのかもしれません。

ここで彼が演じるのは、
男性の娼婦=娼夫、即ち娼年です。

どこか冷めた日常を過ごしていた
20歳の大学生リョウ(松坂桃李)は、
ふとしたことから
会員制ボーイズクラブの
オーナー御堂静香(真飛聖)に
誘われて娼夫の仕事を始めることに。


そこで彼は身体を重ねる
さまざまな女性たちの
心の闇や哀しみ、苦しみ、悩み、
欲望などを目の当たりにし、
戸惑いつつも優しく対処し
続けていくのです。


いわゆる売春という重いテーマを
扱いながらも、そこに携わる
人間たちの繊細な想いを敏感に
描いた石田衣良の同名小説を原作に、
舞台演出家の三浦大輔が監督。


もともと三浦監督は松坂主演で
この原作を2016年に舞台化しています。

松坂が一糸まとわず“表現”する
ことが話題となり、全公演が
即ソールドアウトしたことでも
知られる伝説の舞台劇。


今回はその映画化なだけに、
当然松坂桃李は全体の半分以上が
裸で、舞台と違ってアップで
その美しい姿を拝むことができるのも、
ファンにはたまらないものが
あるでしょう。

(あ、一応R-18+です)

また、そこにエロティシズムこそあれ、
いやらしさなどが皆無なのも、
松坂桃李の肉体そのものから
純粋さが自然に醸し出されている
からといっても過言ではありません。


キャメラ・アイそのものも、
通常の成人映画のように
男性目線で女性との行為を
捉えるのではなく、
行為の中から男女の心情まで
巧みに映る撮り方がなされています。


これなら女性の観客も忌避せず
見ることができるでしょう。


金銭で快楽を売り買いする世界とは、
本来もっとドロドロした部分も
あるかもしれませんが、
ここではそのドロドロしたものの
中にある純粋さ、即ち人間の心の
闇や哀しみにこそ着目し、
一種のファンタジーとして
昇華させているのが
本作の大きな特徴です。


思えばアダルトビデオも
ピンク映画も往年の
日活ロマンポルノも、
男性のためのファンタジーで
あるわけですが、ならば女性の
ためのファンタジーもあって然るべき。

映画『娼年』は、見事なまでに
女性のためのファンタジーに
成り得ていると思いましたが、
映画としても秀逸なので
男性もぜひご覧になってみてください。

それにしましても
『不能犯』
『娼年』と
立て続けに見てしまいますと
(『娼年』の公開は4月なので、
もう少し先ですが)、
今年は松坂桃李の年になり
そうだなといった感慨を
強く抱かざるを得ません。

2018年の映画賞レースにも
必ず絡んでくるとともに、
彼自身のさらなる
ステップアップとして、
また大きな痕跡を残す1年と
なることでしょう。


今後も見逃し厳禁で応援し続けて
いきたい“純粋”なる存在です。

(文:増當竜也)

シネマズ更新日:2018/02/03


https://gunosy.com/articles/RIWdQ

映画『不能犯』本予告映像




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