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WHOも病気と認定「ゲーム障害」の深刻度 [WHOも病気と認定「ゲーム障害」]

WHOも病気と認定
「ゲーム障害」の深刻度


WHOも病気と認定「ゲーム障害」.GIF
=iStock

インターネットの普及により、
「ネット依存症」という言葉を
聞くことは珍しくなくなりました。

あちこちでスマートフォンいじりを
している人を見かけますが、
その中でオンラインゲームに
熱中している人も少なくありません。


そのような中で、2018年6月、
世界保健機関(WHO)が
国際疾病分類第11版
(ICD-11)で、
ゲームに過度に依存している
状態を「ゲーム障害」と
新たな病気として分類したことを
発表しました。


脳神経外科専門医の
工藤千秋医師
(くどうちあき脳神経外科
クリニック院長)が、
この障害について解説します。

【毎日新聞医療プレミア】


◇国際疾病分類とは


そもそも国際疾病分類(ICD)とは、
死因や病気の分類に関する
国際統一基準です。


ある病気の国際的な傾向や経時変化を
捉えるためには、病気の分類基準が
世界共通であることが必要なために
設けられたものです。


医学は日進月歩で進化を
遂げていますから、
当然こうした分類も
変化します。


現時点で使われているICDは
1990年のWHO総会で
採択された第10版
(ICD-10)です。


今回発表されたICD-11は
実に約30年ぶりの改定となるもので、
19年5月に開催される予定の
WHO総会で正式に採択される
見込みです。


さてそのなかでゲーム障害が
どのように分類されたかですが、
ICD-11の大分類で
「精神、行動、神経発達の障害」
という項目の中にある中分類
「物質使用症(障害)群または
嗜癖(しへき)行動症(障害)群」
の中で
「嗜好行動症(障害)」
として分類されています。


◇ICD-11が規定した「ゲーム障害」の中身


ICD-11の中で規定した
ゲーム障害での「ゲーム」は、

「オンラインゲーム」

「オフラインゲーム」の
いずれも含んでいます。

ただ、実際に「障害」という状況に
まで至る人が行っているのは、
主に「オンラインゲーム」だと
言われています。


なお「オンラインゲーム」というのは、
インターネットに接続した状態で、
たいていはネットの向こうにいる
他人といっしょに行うゲームのこと。


「オフラインゲーム」とは
ネットに接続しないで行う
ビデオゲームなどを意味します。

そして「ゲーム障害」の症状は、
次のように記述されています。


▽ゲームへの参加を抑制できない状態
(開始、頻度、強度、持続時間、
終了、状況)


▽ゲームをすることの優先順位が高まり、
他の生活上の興味や日常活動よりも
優先される

▽悪影響が生じているにもかかわらず、
ゲームへの没頭が持続、または
エスカレートする

こうした症状が個人生活、家庭生活、
社会生活、学業、職業、または他の
重要な機能領域において著しい障害を
もたらすほど「十分に重篤」で、
「12カ月以上継続している」と、
ゲーム障害と診断されます。


ゲーム障害は単純な
依存・凝り性とは違う


このような記述を読むと、
多くの方は
「ああ、単なるゲームへの依存ね」
と考えるかもしれません。

ただ、依存という言葉の捉え方は、
一般の人の中では結構、
個人差があると思います。


例えば、毎日定時に学校や職場に現れ、
学業や業務は淡々とこなすけれど、
昼休みやちょっとした休憩時間には
スマートフォンやパソコンで
ゲームに没頭する。


業務や授業の終了後の帰宅途中も
ゲームに興じ、自宅に戻ると
とにかく食事や入浴は軽く済ませて、
あとはひたすらゲームをする。

その結果やや寝不足で、
授業や業務中に、
時々あくびや集中力低下、
居眠りをしてしまう。


こうした行動パターンを聞くと、
多くの人が「ゲーム依存」と
聞いて納得するでしょう。


ただ、この程度ならゲーム以外の
原因でも起きます。

例えば時差のある地域で行われる
サッカー・ワールドカップの
深夜中継の時期などにも
ありがちなことです。


また、サッカー・ワールドカップなら、
その時期が過ぎれば、熱中していた人は
通常の生活に戻ります。

前述のような程度のゲームへの
没頭ならば、物理的にゲームを
遠ざけることができれば、
それほど問題なく元に戻ります。

しかし、今回ICD-11の
ゲーム障害は、前述の定義を
よく読めば分かりますが、
ゲームへの没頭が
「家庭や職場などに多大な
影響をきたしてしまう」
という意味で、一般の人が単に
「依存」と考えがちな
軽いものではありません。


◇脳機能にも変化を与えるゲーム障害


実際、こうしたゲーム障害を持つ人は、
脳機能の一部が低下していることが、
最新の研究結果からも示されています。


中国の四川大学付属華西医院の
グループは、ネットゲーム依存を
有する人の脳の磁気共鳴画像装置
(MRI)画像に関する複数の
研究をまとめた分析(メタ解析)から

「ネットゲーム依存症の人は
健常人と比べて脳の『前頭前野』の
機能が低下している」
ことを明らかにしています。

脳の「前頭前野」は、
人の創造性や、状況に応じた判断力、
感情コントロールをつかさどる
部分であり、いわば人の社会性や
理性を形成している場です。


その部分の機能低下とは
「人が人でいられなくなる」
ことを意味すると言っても
過言ではありません。


よく、ゲームに熱中して
引きこもりになっている人を
ネット上で「廃人」と
からかっているのを見受けますが、
そのような状態は単なる
言葉だけでなく科学的にも
「廃人」という状態なのです。

しかも厄介なのは、
前頭前野は脳の中で
最もゆるやかに発達する部分で、
中高生ならば発達途上の状態です。


そのような時期にゲーム障害に陥ると、
成人期までに状況に応じた判断力などが
養われないことになります。


◇早めに兆候を見つけて対処を


ゲーム障害はまだ新しい病気でも
あるため、治療方法が完全に
確立されているとは言い難い状況に
あります。


国内でも治療に対応できる医療機関は
ごくわずかです。

治療方法としては
アルコール依存症や
薬物依存症と同じく、
入院してスマートフォンや
パソコンに全く触れない
状態を作り、
そこで患者本人が自身の
思考や行動を振り返りながら、
その論理的な誤りを
医師とともに見つけて修正していく
「認知行動療法」などが行われます。


ただあくまでその治療法は、
専門家ですら試行錯誤中ですし、
完治までにはかなり
長期間を要します。


だからこそ、そこまでに至る前に
兆候をキャッチして適切に
対処する方が本人や周囲に
とっても望ましいと思われます。


具体的には、ゲームをしていない、
あるいはできない状態になると
イライラして集中力が続かなくなる

▽ゲームをする時間が次第に
長くなりつつある


▽ゲームに夢中になり、
食事や入浴の時間を忘れてしまっている

――などの兆候があったら要注意です。

こうした時はまず無理のない範囲、
例えば、通勤や通学の途中で
「公共交通機関の中でも
ゲームをしている」場合は
「その時間のみゲームをやめる」


▽ゲーム時間の上限を決めて
それをしっかり守る――などの
対策から始めましょう。

【聞き手=ジャーナリスト・村上和巳】



毎日新聞1/13(日) 9:31配信

最終更新:1/13(日) 9:31

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190113-00000008-mai-sctch











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