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夏ドラマ『偽装不倫』『凪のお暇』など女性向けコミック原作に期待? アラサーヒロインを分析 [夏ドラマのアラサーヒロインを分析]

夏ドラマ『偽装不倫』『凪のお暇』など
女性向けコミック原作に期待? 
アラサーヒロインを分析

女性向けコミック原作.GIF
『凪のお暇』主演の黒木華 (c)TBS

いよいよ今週からスタートする
7月クールの連続ドラマ。


昭和の昔からこのクールは、
男性アイドルたちが夏の
コンサートツアーを行うため
ドラマ出演を控え、

代わりに女優の主演ドラマが
増える傾向があるが、

例に漏れず、今年も女性が
主人公の作品が多く
ラインナップされた。


ゴールデンタイムでは、
上野樹里主演の
月9『監察医 朝顔』
(7/8月曜スタート、
フジテレビ系)を
皮切りに、

石原さとみ主演の
『Heaven?~ご苦楽レストラン~』
(7/9火曜スタート、TBS系)、

杏主演の『偽装不倫』
(7/10水曜スタート、日本テレビ系)、

黒木華主演の『凪のお暇』
(7/19金曜スタート、TBS系)と続く。

いずれも漫画原作である。

それに小説原作で
深田恭子主演の『ルパンの娘』
(7/11木曜スタート、フジテレビ系)
が加わる。


今回は、女性向けコミックが原作で、
今どきのアラサーの生き方を
描いた『偽装不倫』と『凪のお暇』に
ついて期待も込めて分析してみたい。


『偽装不倫』の原作は
『東京タラレバ娘』
(日本テレビ系)の
東村アキコ。

恋愛に振り回される女性の
赤裸々な心情を描かせたら当代一で、
好きな相手の一番になれない
女たちを描いた『東京タラレバ娘』
と同じように、杏が演じる
主人公の鐘子も、婚活を
3年もしたのに収穫ゼロという
“非モテ”のコンプレックスを
抱えている。

しかし、婚活をすっぱり止め、
派遣社員の契約も切れた
タイミングで、福岡に人生の
リセット旅行へ。

その往路の飛行機で出会った
イケメンカメラマン
・伴野丈(宮沢氷魚)に、
自分が既婚者だと嘘をつくと、

「不倫しませんか?」
と誘われる。

「結婚している」
ことにしたほうが、
彼を狙っていると
思われないのではないかと
考えた鐘子。

そして、丈が普通の恋愛ではなく
不倫をしたがっているように見え、
ますます嘘だったとは
言えなくなってしまう。

このシチュエーションが
まず面白い。

鐘子は丈にひと目ぼれしたのに、
素のままの自分では彼と
対峙できない。

「結婚して夫がいる自分」を
演じることで初めて、
衝動的な恋愛に飛び込めるのだ。

このこじらせぶりがいかにも
東村作品らしい。


鐘子は既婚者という嘘を
ついたために、
人生が変わっていく。

それに対して、
『凪のお暇』の主人公、
凪(黒木華)は
「嘘をついていた自分」を
捨てることで、人生を
リセットしようとする。

それまでの凪は
家電メーカーに勤め、
控えめな存在ながらも
職場に溶け込んで
女性同士の付き合いも
欠かさず、SNSでも
「いいね!」を押し続けていた。

さらに営業部のエースである
慎二(高橋一生)とも
ひそかに社内恋愛をし、

リア充ワールドに生息して
いたのだが、それは必死で
空気を読み続け、

無理に無理を重ねないと
キープできない現実だった。

結局、同僚にはライトに
いじめられ、彼氏の慎二も
信じられなくなり、
凪は会社を辞めて
姿をくらましてしまう。


原作漫画もそうだが、
ドロップアウトした凪の姿は
かなりのインパクト大。

会社にいたときは
毎日ヘアアイロンをかけて
サラサラのストレートヘアに
していたが、本当はくるくるの
天然パーマで、
まるで『アフロ田中』のようだ。

引っ越したアパートは
東京郊外の6畳1間で、
『聖☆おにいさん』の
イエスとブッダが
住んでいても
おかしくない風情。

そこで、凪は怪しげな自由人、
イベントオーガナイザーの
ゴン(中村倫也)と隣室になり、

彼と急接近していく。

しかし、元カレの慎二も凪を
追ってくるので、凪は過去を
断ち切れず、心を揺らす
ことになる。


ドラマではどう描かれるか
分からないが、原作では、
鐘子も凪もリセット前は
結婚をゴールだと思って
いたところが印象的だ。


2人とも仕事に燃えている
わけでなく堅実なキャリアを
積むつもりもなく、
結婚さえすれば、

つまり頼りになる男性を
つかまえれば幸せになれると
信じて生きてきたのだ。


だが、その見込みがなくなって、
鐘子は不倫という結婚の先に
ある恋愛に走り(結婚は偽装だが)、

凪もいったんその考えを捨てる。

やり方こそ違うけれど、

2人とも突拍子もない
行動に出ることで
「結婚イコール幸せ」
という価値観から自由に
なろうとしているように見える。


その価値が得られないならば、
むしろそれを持っていると
偽装する鐘子。

または凪のように
それが絶対とされる
世界から逃れるやり方。

彼女たちの選択は結婚だけでなく、
収入などで格差が広がった今、

「本当に結婚すれば幸せに
なれるのか?」

「安定した収入があれば
幸せになれるのか?」
という根本的な疑問を
持つ人に支持されそうだ。


近年、最も高く評価された
女性向け漫画原作の
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』
(TBS系)でさえも、
ヒロインは結婚する選択をしたし、

漫画原作ではないが昨年の
夏ドラマ『高嶺の花』
(日本テレビ系)、

『サバイバル・ウェディング』
(日本テレビ系)
でもヒロインは婚約破棄され
人生のどん底に落ちるという
始まり方だったので、

今期の2作のヒロインが
婚約まで行き着く前に早々に
ドロップアウトしてしまった
のは興味深い変化だ。


その先に待つのはどんな
展開だろうか? 

願わくば、アラサーヒロインよ、
荒野を目指せ!


 また、キャスティングを見ると、
ふたりのヒロインは原作の
イメージにぴったり。

ドラマの『東京タラレバ娘』が
原作ほどの支持を得られ
なかった理由のひとつは、

30歳を過ぎたヒロインの
悲哀を描く内容だったのに、

演じた人が30歳未満だったこと。

さらには、男性から冷たくされる
役なのに、どう見ても人並み
外れた美女で、向井理と
中丸雄一が彼女を取り合う
設定の方がよっぽど
納得できることがあったと思う。

その点、『偽装不倫』の
杏は年齢も役とほぼ同じで、

キラキラ系ではないし、

『デート~恋とはどんなものかしら~』
(フジテレビ系)、

『花咲舞が黙ってない』
(日本テレビ系)で
恋に不器用なヒロインを
演じてきた積み重ねもある。

プライベートの充実ぶりとは
切り離した演技で同性の
共感を呼べるだろう。

『凪のお暇』の黒木華は、
まずモジャモジャヘアに
した役者魂がすばらしい。

この髪型をメインビジュアル
としてOKする主演女優は
そうそういないのでは
ないだろうか。

そんな肝の座った演技力ば
つぐんの黒木と、高橋一生&
中村倫也という最旬キャスト
との共演が楽しみだ。

小田慶子



リアルサウンド7/8(月) 6:05配信

最終更新:7/8(月) 6:05

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190708-00010000-realsound-ent











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