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宮沢りえ、井上真央、小泉今日子…“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか? [“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか]

宮沢りえ、井上真央、小泉今日子
“原作・角田光代”映画はなぜ女優を
輝かせるのか?

“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか.GIF

ハリウッド映画『終戦のエンペラー』
(2013年)で演じたヒロイン・アヤの
凛とした美しさが、強烈なインパクトを
残し、絶賛された初音映莉子。

そんな彼女が角田光代の同名小説を
映画化した『月と雷』
(10月7日公開)で4年ぶりに
映画に出演を果たし、
またもや絶賛級の演技を
披露しています。

クールビューティなイメージを
持つ初音ですが、本作では、
心に傷を持つ等身大な
主人公・泰子を熱演。

トラウマを抱えていた泰子が
ある男と出会い、変化していく
様子を丁寧に演じ、堂々とした
ヒロインぶりを見せつけています。

日常の中に潜むさまざまな人間模様を
リアリティ豊かにつむぐ角田の作品は
映画化され、そのたびに
出演女優たちの新たな一面が高く
評価されてきました。

角田原作映画はなぜこんなにも
女優を輝かせるのでしょうか?

空虚な心を抱える
ネガティブなヒロイン像

“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか1.GIF

『月と雷』で初音演じる
主人公・泰子は、幼少の頃、
父親の愛人・直子と
その息子・智(さとる)に
家族を壊され、それ以来、
普通の人間関係を築くことが
できないと思い込んでいる
女性です。

“普通の家庭”に憧れ、
たいして好きでもない男性と
婚約しているのですが、そんな折、
何の前触れもなく智が泰子を
訪ねてきます。

20年前、母の居なくなった家に
転がり込んできて、半年間だけ
暮らし出て行った直子と智。

泰子は、だらしなくていい
加減だったけれど、
楽しかった彼ら親子との生活を
懐かしく思い出します。

その一方で、泰子の大切な
“普通の生活”をめちゃくちゃに
して突然いなくなった2人を恨む
気持ちもあるのです。

角田原作映画に登場するヒロインは、
宮沢りえが横領犯を演じた『紙の月』
(2014年)や小泉今日子が家族の
呪縛に囚われた主婦を演じた
『空中庭園』(2005年)など、
みな空虚な心を抱えています。

そのぽっかり空いた穴を埋めるために
あがく様子や、心の動きをつぶさに
描写するネガティブな
ストーリーテリングは、
角田小説の持ち味の一つ。

演じる役者の表現力が必須となる
難しい役どころであることは
間違いありません。

そのプレッシャーを跳ね除け、
初音はトラウマを抱える泰子の
揺れる心を情感豊かに表現するなど、
体当たりの演技で魅了しています。

ある男性との出会いがきっかけで、
それまでの自分の殻を破る

“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか2.GIF

角田原作映画では、
それまでの自分を変える
きっかけとして、1人の男性との
出会いが演出されることがあります。

本作でも人生すべてに対して
諦めモードだった泰子が、
離れて暮らす母親を探そうと
思い立つきっかけとなったのは、
大人になった智との出会いです。

20年のタイムラグを
感じさせることなく、
すぐに泰子と打ち解ける
朗らかで無邪気な智。


智と体を重ね、
束の間の安心感を
手に入れた泰子は、ようやく
過去の自分と対峙する
勇気をもらいます。

しかし智は、幼い頃から地域を
転々とする生活を送ってきたために、
1カ所でずっと暮らすという
当たり前の生活を送ることが
できないダメ男。

同様に『紙の月』で
主人公(宮沢りえ)が顧客の預金を
横領するきっかけとなった
年下の恋人(池松壮亮)や、
『真昼の花』で森下千里演じる
無一文の主人公に声をかける
謎の男(黒田アーサー)など、
どの男性もおよそ本命の恋人という
頼りにできる関係ではなく、
ヒロインの人生にほんの一瞬通り
過ぎるだけの人物ばかりです。

このような男性たちばかり
登場させるのは
「自分の人生は、自分でどうに
かするしかない」という
角田からの女性に対する
メッセージなのではないでしょうか。

だからこそ、たとえどんな結果に
なっても自分の力で選択し続ける
ヒロインに女性は共感し、
応援したくなるのかもしれません。

母と娘の間に横たわる複雑な
感情を生々しく描写

“原作・角田光代”映画はなぜ女優を輝かせるのか3.GIF

また、角田原作映画では母と娘の間に
存在する、一言では言い表せない
ような感情も生々しく描かれます。

本作には、家族を捨てて出ていった母と、
父親の愛人であり、半年間母親がわりを
務めた直子という2人の女性が登場。

泰子はなぜ幼い自分が置きざりに
されたのか、理由を見つけるために
母親、そして直子を探すことに
なります。

草刈民代演じる直子は、
昼間から酔っ払い、
男から男へ渡り歩く
“根なし草“のような女性。

泰子が理想とするような
普通の生活とはかけ
離れた日々を送ります。

『八日目の蝉』で井上真央が演じた
幼い頃に誘拐された経験を
持つヒロインと、
永作博美扮する育ての親であり
誘拐犯の関係のように、
ある種の気まずさや、軽蔑、
愛などさまざまな感情が
2人の間には
横たわっています。

しかし、直子は疑似母として
泰子の長年の疑問にヒントを
与えていきます。

奇しくもこれまで映画化されてきた
角田作品は、いろいろな事情を
抱える女性がどのように生きて
行くのかという“人生の選択”を
描いたものばかり。

「将来への不安や満たされない思い」
という現代女性なら誰しも
感じたことのある、ある種の葛藤や
母娘の複雑な感情などを
リアルに切り取り、
女性に寄り添うヒロイン像が
絶大な支持を受けています。

角田原作映画がヒロインの女優を
輝かせるのは、決して幸福とは
言えない状況の中でも、
懸命に生きようとする主人公の
生き様がリアルに描かれるから。

その等身大の奮闘が、観る者に
しみじみとした感動を
与えてくれるんですよね。

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

dmenu映画 10/3(火) 7:40配信

最終更新:10/3(火) 11:43

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171003-00010001-dmenueiga-movi&p=1
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