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NHK植木等ドラマに抱く残念な違和感...『トットてれび』との決定的な差 [NHK植木等ドラマに抱く残念な違和感]

NHK植木等ドラマに抱く残念な違和感...
『トットてれび』との決定的な差

NHK植木等ドラマに抱く残念な違和感.GIF

コミックバンド
「ハナ肇とクレージーキャッツ」の
ボーカルとして活躍し、
映画『無責任シリーズ』などを
はじめ数々のヒット作を生み出した、
昭和を代表する喜劇人・植木等。

その植木等を主人公にしたドラマが
土曜20時台にNHKで放送されている。

タイトルは『植木等とのぼせもん』。

植木等の付き人だった小松政夫が
書いた小説『のぼせもんやけん』
(竹書房)を原案とするドラマだ。

現在、第2話まで放送されており、
第1話では「スーダラ節」のヒットに
よって人気者に駆け上がっていく
植木等が、「無責任男」という
イメージが世間に定着していくことに
対して戸惑う姿が描かれた。

●植木等役はヒカキンでもよかった?

企画自体は、昨年放送された
黒柳徹子の自叙エッセイを原案に
ドラマ化した『トットてれび』(NHK)の
成功を受けてのものだろう。

黒柳の目を通して描かれたNHK開局時の
テレビ黎明期の物語は見応えがあり、
当時の空気を再現しようという
試みが高い評価を受けた。

それに比べると、
『植木等とのぼせもん』は
昭和歌謡こそたくさん流れるが、
植木等とクレージーキャッツの
立ち位置を再定義しようという
批評的な試みはあまり感じられない。

おそらく本作は、付き人の
松崎雅臣(のちの小松政夫)から
みた人間・植木等を描こうと
しているのだろう。

第2話で、息子を心配して
上京してきた母親を追い返した
松崎雅臣(志尊淳)に対して、
「親は大事にしないといけない」と
説教する植木等の姿は、
人情ドラマとして感動できる。

だが、
「その見せ方は違うんじゃないか」
と思う。

植木等もクレージーキャッツも、
とてもアナーキーな存在だった。

人間・植木等ではなく、
喜劇人・植木等の圧倒的な
パワーを見せてこそ、
今のテレビでやる意味がある
のではないかと歯がゆい
気持ちになった。

脚本は『リンダリンダリンダ』
(ビターズ・エンド)や
『マイ・バック・ページ』
(アスミック・エース)と
いった山下敦弘監督の映画に
参加している向井康介だが、
彼の持つオフビートで
シニカルな笑いによって人間を
掘り下げていく作家性は、
あまり生かされてない。

実話を基にしているという
難しさがあるのだろうが、
普段は連続ドラマを書かない
向井がせっかく執筆している
のだから、今までにない
試みが見たい。

植木等を演じる山本耕史は、
歌唱シーンを含めて植木等の
“完コピ”をしており、
見ていて感心する。

だが、そこに植木等が持っていた
アナーキーな迫力はない。

いっそのこと、既存の俳優を
起用するのではなく、
ユーチューバーのヒカキンに
植木等を演じさせるくらいの
大胆さがあってもよかった
のではないかと思う。

しかし、とても残念なことだが、
植木等の評伝が
スラップスティックな
コメディとしてではなく、
泣けるヒューマンドラマとして
つくられてしまうこと自体が、
今のテレビドラマの状況を
よく表しているのだろう。

●急増する、昭和の芸能史を語るドラマ

前述した『トットてれび』を筆頭に、
実在した芸能人を主人公にして
昭和の芸能史を語ろうとする
ノスタルジックなドラマは
近年増えている。

つい先日も、
『24時間テレビ 愛は地球を救う』
(日本テレビ系)で
作詞家・阿久悠の生涯を描いた
ドラマ
『時代をつくった男 阿久悠物語』が
放送された。

連続テレビ小説『ひよっこ』
(NHK)にも、1960年代の
テレビ局が繰り返し登場する。

舞台こそ現代だが、
倉本聰が脚本を担当する
帯ドラマ『やすらぎの郷』
(テレビ朝日系)も
昭和の芸能文化に貢献した
俳優や脚本家が暮らす
老人ホームが舞台であり、
劇中では過去の映像と共に
当時のテレビ番組のことが
繰り返し語られる。

これらの作品は、
どれもドラマとしては丁寧な
つくりでレベルが高い。

しかし、見ていてゲンナリするのは、
懐古主義が全面に出ていて、
テレビの“お葬式”を
見せられているような
気持ちになるからだ。

つくり手の気持ちとしては、
テレビ黎明期の昭和のテレビや
芸能人たちを描くことで、
当時のエネルギーを今の時代にも
再現したいという気持ちがある
のかもしれない。

だが、残念ながら今のテレビ業界は
視聴者と共に高齢化しており、
そんな気力はない。

●テレビ黎明期に似た、
ユーチューバーたちの熱量

今、その熱量があるとすれば、
それはテレビ業界の人たちが
忌み嫌っている
ユーチューバーたちの表現だ。

彼らの表現は拙くて、
くだらないものも多い。

しかし、少人数で制作し、
いつでも動画を配信できる
機動力によって、
それこそテレビ黎明期にも
似た熱量を放っている。

だからこそ、若い視聴者たちは
テレビではなく
「ユーチューブ」などの
配信メディアに注目している。

同時に、ドラマや映画といった
つくり込んだ映像を配信する
場所としては
「ネットフリックス」や
「アマゾンプライム・ビデオ」
などの定額動画配信サービスが
台頭してきており、
テレビの存在感は年々
厳しいものとなってきている。

そういった新たな才能への批評性、
つまり過去のテレビ芸能史を
振り返ることで、
現代のユーチューバーを
撃つようなドラマになっていれば、
まだ応援したくなるのだが、
現状では高齢者が昔を
なつかしむための番組以上の
ものにはなっていない。

個人的にはクレージーキャッツも
植木等も大好きで、彼らの表現を
振り返る価値は十分にあると思う。

だからこそ、安易な
ヒューマンドラマに落とすのではなく、
「もっと乱暴にいこうよ」と
思ってしまうのだ。

(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

Business Journal更新日:2017/09/16

https://gunosy.com/articles/RBZxS

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