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『デスノート』死神・リュークに命を吹き込むCG技術と、職人のこだわりに迫る [デスノート死神・リュークに命を吹き込むCG技術]

『デスノート』死神・リュークに命を吹き込む
CG技術と、職人のこだわりに迫る

土井淳氏.GIF
CGディレクター 土井淳氏(写真左)と
専務取締役 豊嶋勇作氏(写真右)。

10月29日全国ロードショーの映画
『デスノート Light up the NEW world』に
おいて、物語の鍵を握るキャラクターである
“死神“「リューク」のデザインが
10年ぶりに一新される。
さらに今回、原作に登場したリューク以外の
死神が、映画オリジナルキャラクターとして
新たに2体登場する。
CG技術の進歩によって慣れ親しんだ
キャラクターはどのように進化するのか。
また新たに登場するキャラクターには
どんなこだわりが込められているのだろうか。
昨今の映画において、多くの観客に
とってCGによる演出は目新しい
ものではなくなりつつある。

しかし、現実にはいないはずの
キャラクターや誰も体験したことのない
演出を作り上げる裏には、
CGデザイナーたちによる緻密で膨大な
手仕事が存在している。

今回はそんなCGデザイナーという仕事に
フォーカスをあて、10年という年月の
なかでCG技術がどのように進化し、
私たちを楽しませてきたのかを探る。

前作の映画版デスノートから10年。
当時衝撃的なデビューを飾った
CGキャラクターのリュークの変化を
テーマに、CG制作会社株式会社
デジタルフロンティアの
専務取締役豊嶋勇作氏と実際に制作を
担当したCGディレクター土井淳氏に
お話を伺った。

■10年前のリュークのデビューは衝撃だった
--物語の鍵を握るキャラクターであり、
原作の漫画でも多くのファンを持つ
死神リュークは10年前の作品
『DEATH NOTE』
『DEATH NOTE the Last name』
二部作ではどのようにして
作り上げられたのでしょうか。

土井: 原作の漫画があったので、
当時はとにかく漫画を再現するという
方向で製作を行っていました。
原作者の小畑つぐみ先生からいただいた
顔を三つの方向から見た三面図に
沿ってデザインをしていました。

豊嶋: 当時はCGと言っても、背景の細かい
部分や爆発など特殊な演出に
使用することが主だったので、
前作のデスノート二作は、
CGキャラクターを実写の俳優と一緒に
実際に演技させるという意味で、
エポックメイキングな作品でした。
作品が公開されてから、死神リュークが
CGで再現されていることに多くの人が
驚いている様子を肌で感じることが
できましたね。

土井: 前編でCGキャラに芝居をさせる
実験を行って、後編でそこで得た知見を
最大限に生かしてより生き生きとした
キャラクターにするということを
行いました。
例えば「プレスコ」といって、
CGキャラクターを作成する前に先に
リュークの声を担当されていた
中村獅童さんによるセリフを収録して、
現場でその声を流し、藤原竜也さんを
はじめとしたキャストの方々には、
目線だけキャラがいる方向に向けて
演技をしてもらうという手法を
採っていました。

実写とCGを合成した演技の自然さと
いう部分で言えば、他に類を見ない作品で
あったことは間違いありません。

■10年が経ち、リュークはどのように変化したか
--そのデザインを一新するにあたって、
10年前と今ではどのように
変わっているのでしょうか。
豊嶋: 「一度前作のリュークを忘れて、
新しいリュークを作ろう」と、
いろいろなコンセプトデザインを
書き起こしました。
その中から原作のリュークらしさを
残しながら、まったく違う印象を与える
キャラクターを作り上げていきました。

土井: 10年経って、観客の方々の多くが
CGキャラクターというものに
慣れてしまっているという現状もあり、
そんな観客の方々の審美眼に耐えうる
CGというテーマを意識して
作っていきました。

特に今回大きく変わったのはリュークの
全体の重厚なシルエットや、肌、服の
素材の質感など、
「そこに本当にいるかもしれない」と
思わせるような実在感ですね。
そこを目指してコンセプトデザインの
イラストからCGを起こしていきました。
もう一つ大きく意識したところは表情です。
リュークはいち登場人物として、
映画の中の様々なキャラクターと
交流するシーンが多くあります。

その中で表情の変化が不自然だと
観客にも違和感を与えてしまう。

なので、今回「パフォーマンスキャプチャ」
という、演者の方の表情を映像で細かく収録し、
全身を使った演技とCGを合成できる
技術を用いて、中村獅童さんの実際の表情を
リュークに当てはめていきました。

結果として死神の顔の筋肉などを
再現することができるようになり、
10年前のものとは比べ物にならないくらい
表情の機微を表現できていると思います。

豊嶋: モーションキャプチャと
パフォーマンスキャプチャの大きな違いは、
その名の通り「動き」を録るか、
「演技」を録るかという言葉で表されます。

一昔前のCG制作現場では、
アクターの身体の動きと顔の表情を
一緒に録ることができませんでした。
そのためモーションキャプチャによって
身体を、フェイシャルキャプチャによって
顔に40個ほどのマーカーをつけて表情を
それぞれ別々に収録しあとで
合成していました。
それが現在では同時に行えるように
なったことで、一人のアクターの
演技の情報量をそのままにCGに
適応することができるように
なったという変化があるのです。

■新キャラクター「アーマ」と「ベボ」。
2体の死神に込めたこだわりとは

--今回あらたに登場する2体の
死神キャラクターもCGで表現されています。
リュークとの差別化など、どのような
こだわりがあったのでしょうか。

デスノート3.GIF

土井: 佐藤信介監督があらかじめ、
漫画に登場する死神の幾つかに目星を
つけていて、その中から今回の映画に
即した新キャラクターにブラッシュアップ
させていただきました。

カラスやコウモリといった黒い生き物の
素材感を採用し残忍さ、得体のしれなさを
表現したリュークに対し、
人間界でいう女性にあたる
初登場キャラクターの「アーマ」は
昆虫や甲殻類のような照りのある素材感で、
かつ妖艶で怪しげな雰囲気を
醸し出すように仕上げました。

全ての死神に共通して、
人間界に降りてきた死神が人間の目に
映るとき、いったいどんな印象を
受けるのかということに注意しました。

人間界にないような素材を使ったとして、
逆に人間の想像の域を超えてしまっては
死神に対する畏敬の念が呼び起こされない
だろうという想定のもと、
あえて人間界にある素材で、
実在感をもって受け入れられるような
キャラクターにするということに
こだわって制作していきました。

豊嶋: 今回はオリジナルの死神も
コンセプトアートをつくってそこから
CGを作り上げていったのですが、
そのプロセスの中で、監督も交えつつ
原作をリスペクトしながら
新しい死神を生み出すという作業は
非常に刺激的でしたね。

最初に考えていたものよりもだいぶ
人間に近づいていて、死神に対して
感情移入ができるようにという
監督の思惑なども含まれています。

これから作品を見る方々にとって
見所の一つになるかと思います

デスノート4.GIF

--最後に、映画を楽しみにしている
デスノートのファンの方々へ
メッセージをお願いいたします。
土井: 死神たちはCGでできたキャラクター
ではありますが、本物の俳優に
見劣りしないような、一人の役者として
命を吹きこんでいます。
漫画のファンの方や、前作を10年前に
観た人も新生リュークの存在感を
楽しみつつ、オリジナルの死神についても
楽しんでもらえれば幸いです。

ストーリーもオリジナルなので、
色んなものがオリジナルとして
楽しめる作品となっています。

豊嶋: 弊社は実写のVFXを昔から
よくやらせていただいていたのですが、
10年前に『デスノート』に関わらせて
いただいた際、邦画の中で
唯一キャラクターCGが演技をして
実際の役者と大きく絡んでいるという、
当時のCGの常識を覆す作品でした。

そこから10年が経ち、テクノロジーの
進歩とともに、様々な技術の精度が
上がって死神の微妙な機微も
表現できるようになりました。

そんな意味で自分たちにとっても
印象深い作品です。

観客の方々にもそれを体感できる作品に
なっているんじゃないかなと思います。

--ありがとうございました。

今回のCG制作では土井氏監督の元で、
30人ものスタッフが2ヶ月間をかけて
リュークやキャラクターを
作り上げていったという。

映画の世界観の中で、現実には決して
存在しないものを再現するために
かかる時間と労力は、私たちの想像を
はるかに超えるものとなる。

映画
『デスノート Light up the NEW world』は
10月29日全国ロードショーだ。

新たな技術と職人と手により生まれ
変わったリュークを一目見に
劇場へ足を運んでみてはいかがだろうか。
取材・文:兵藤 友哉
1995年生まれ。フリーライター。
早稲田大学文化構想学部表象メディア論系在籍。
専らの興味は
「メディアテクノロジーの進歩による
人間の認知の更新」。
卒論のテーマは
「2016年時点のインターネット
コミュニケーションにおける
GIF画像の果たす/果たした役割」。

Twitter @do_do_tom

SENSORS 11/1(火) 13:38配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161101-00010002-sensors-sci&p=1


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