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渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない?「日本人として人生も含めて役に乗せる」 [渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない?]

渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない?
「日本人として人生も含めて役に乗せる」


渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない.GIF
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』出演と
世界での俳優活動について語る渡辺謙
(写真:逢坂聡)

日本が誇る世界的IPである
ゴジラが、ハリウッド製作
第2弾の超大作
『ゴジラ キング・オブ・
モンスターズ』
としていよいよ世界公開される。

そんな本作には、世界で活躍する
渡辺謙が前作に続き芹沢博士役で
出演。


渡辺にとってのハリウッドゴジラへの
出演、世界で活動する日本人俳優
としての矜持を聞いた。


■ゴジラが生まれた1954年と今、
根底にあるものは不変


――今作はゴジラのほかにも、
キングギドラ、モスラ、
ラドンといった怪獣が登場しており、
非常に迫力がありました。

【渡辺謙】今回は3体とも
飛ぶ怪獣ですから、滑空する姿や
飛び上がろうとする動作も
なかなかの迫力がありましたよね。


――ゴジラがハリウッドで映画化され、
渡辺さんの出演は2作目になります。

【渡辺謙】演じた芹沢は、未来に
向けてゴジラという生物と
共存すべきだと思っているけど、
共存するには手に余るところもある。


それはある種の漠然とした
不安感といったものの
シンボルだと思っています。

人間の環境破壊を止めるための
スクラップ・アンド・ビルド
として怪獣が必要という意見と、

一方、怪獣は人間には不要なもの
という意見の、ちょうど中間地点に
いるのが芹沢という男だと思います。


――ゴジラが生まれたときに
掲げられたメッセージは、
今回のハリウッド版でも
変わらない?

【渡辺謙】もちろん現代の生活や
経済、社会構造は、当時と大きく
変わっています。

しかし、オリジナル版が生まれた
1954年に日本が抱えていた問題は、
今でも根底にあるものは
変わっていない。

逆に言えば、ハリウッド版が
オリジナルを踏襲したことで、
そうしたテーマ、問題みたいな
ものを現代にうまく映し出した
と思っているんです。


ただ単に怪獣映画というのではなく、
日本のオリジナル版が持っていた、
社会のなかの漠然とした不安感や、
未来への揺らぎみたいなものは、
ハリウッド版にもしっかり
組み込まれています。


――芹沢猪四郎という名前は、
オリジナル版の登場人物である
芹沢博士と、本多猪四郎監督に
オマージュを捧げたキャラクター。

渡辺さんはそんな日本を
代表する役柄を、
日本代表として演じられています。

【渡辺謙】前作の時もですが、
日本代表というよりも、
この映画と観客の中間地点に
いる意識です。

外国から見ると日本の俳優が
出演しているとなりますし、
日本の観客にとっては
ハリウッド映画だけど、
ちゃんと日本人も出演していると
感じるでしょう。

日本とハリウッドの橋渡しを
するとか、そういったことまでは
考えていないけど、

この映画を観るうえでいい
緩衝材になっている気はします。


――海外の観客にとっても、
ゴジラをハリウッドで映画化する
ことに反響はあったのではないですか?

【渡辺謙】たしかに前作は、
不安と期待が入り混じった
リアクションが大きかったんですけど、

今作では
「今度は何をやるんだ」
という期待感を強く感じています。

僕はLAで試写を観ましたが、
身内ではありますけど
エージェントの反応が
とてもよかったです。

きっとアメリカの観客も
喜んでくれると思います。


――渡辺さんは今作をどう観ましたか?

【渡辺謙】前作からうまく繋げていると
思いました。

今作はベースになるのが科学者の問題。

我々が最前線で戦いもするし、
より悩み苦しむところがあるので、
傍観者になれない。

当事者になったのが非常に
おもしろかった。


■ハリウッドは世界中の才能を吸い上げる場所

渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない-1.GIF
前作に続き芹沢博士役で
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に
出演する渡辺謙(C)2019 Legendary and
Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.


――昨今では、日本の若手俳優でも
ハリウッド進出を目指す人が
増えています。

【渡辺謙】僕は“進出”という
言葉を使わないほうがいいと
思っているんだなあ。

なんだか壁を作っているような
気がするから。

ハリウッドという場所は、
世界中の才能を吸い上げてしまう、
ブラックホールみたいなところが
あって。

それはアジアに関わらず、
ヨーロッパでも南米でもそう。

才能があって意欲がある人は
みんな吸い上げられていく
わけです。

だから進出するというよりも、
吸い込まれて、飛び込んで
いくところだと思うんです。

もちろん吸い込まれたまま
消えてしまう人もいるし、
そういうことも含めて
冒険になりますね。


――ハリウッドに吸い込まれて
見えてきたことはありますか?

【渡辺謙】おかげさまでそこそこ
打率が良い作品に巡り合って
いますので、そういう意味では
楽しませてもらっています。

ただ僕としては、ハリウッドでも
日本でも場所がどこであれ、

バランスといったことは
考えていません。

とにかく自分が興味を持って
やりたいと思った作品に取り組む。

僕のなかでは垣根はありません。

結果的に、今は日本と海外が
6:4くらいですが、
舞台も含めると全体では
半々ぐらい。

最終的に自然とバランスが
取れていますね(笑)。


――昔から世界に打って
出ようという意識はあったんですか?

【渡辺謙】まったくなかったですね。

僕の世代では無理だと思って
いましたから。

たまたまそういう機運に恵まれて、
僕が呼ばれたタイミングが
良かったんだと思います。

そのムーブメントは、
刻一刻と変わっていく。

僕が海外に出始めた頃から
日本はちょっと下火になって、
代わりに韓国や中国、南米の
人たちがワッと行くように
なっていきました。

でもここ最近は、アジアに
対する比重が変革しているように
思います。

意識してアジアの俳優を
使うということではなく、
アジアの俳優を
キャスティングするのが
普通になっている。

やはり映画は社会を映す
鏡みたいなところがありますから。

それがキャスティングに
反映されていると思います。


――海外志向を公言する
日本の若手俳優にとっては、
チャンスも増えていると。

【渡辺謙】もちろん口に出すのは
いいことだけど、それよりも
どんどん行けばいいと思うんですよ。

俳優だけではなくて、
監督や脚本家、撮影、照明、
音響とかスタッフも海外に出て、
世界標準のスキルを吸収して
戻ってきてほしい。

そういうことがないと、
本当の意味での日本映画の
底上げにはならない。

もちろん今のままだって
日本映画の良さはあるんだけど、
テクノロジーが時代を
変えていきますから、
もっと外と交流をして、
ノウハウを吸収してほしい。



■ハリウッド俳優にはなれない、
なるつもりもない


渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない-2.GIF
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
(C)2019 Legendary and Warner Bros.
Pictures. All Rights Reserved.


――日本と海外の差をどこに
感じますか?

【渡辺謙】映画館で予告編を観ても、
画の違いがわかるじゃないですか。

でもそれは単なる制作費の
問題ではないような気がするんです。
その辺の違いを学び取って、
違うエッセンスが入ってくると、
日本映画の枠がもっと
広がっていくと思います。


――企画としてはどうですか? 
日本はとくにメジャー作品では
漫画実写化など似たような企画が
多いように見えます。

【渡辺謙】基本的にリスクを
避けたいんでしょうね。

いいお話であれば、
たとえば50代の恋愛ものでも
観客は入ると思います。

たしかにハリウッドでもそういう
映画の数は多くはないけれど、

それでもちゃんと作られている。

もっと発想豊かに、
実際の人生で起こることを
ドラマにできないかと
思っているところはあります。


――ハリウッドでは、出演料を
興行収入からの割合で受け取る
スタイルのスターも多いと聞きます。

【渡辺謙】やはり映画会社としても、
リスクを低くするために最初の
ギャランティを抑えて、
バックエンドで回収するというのは
1つの手法としてあります。

それはとてもフェアだと思います。

俳優側もヒットさせるために
プロモーションに励むし、
撮影時の向き合い方も違う。

ただ日本の映画界では、
なかなか昔からの慣例を
崩すのは難しい。

契約の1つの形として、
日本でもあっていいとは
思っていますけど、
簡単ではないですね。


――日本でも俳優組合が
必要とする声もあります。

【渡辺謙】もちろん必要だと思います。

ただ、アメリカでも悩ましいのは、
組合でいろいろなことが保護される
のはいいんだけど、上層の10%と
その他の90%がまったく違う
レベルで組合に依存しているところ。

また低予算の映画は、
組合から外れておかないと
撮影までこぎつけられない。

でも労働環境は守られますから、
それは必要なこと。

組合にも功罪両方あると思います。


――今は自動翻訳も進化していますが、
ハリウッドで活躍するためには
やはり語学力は必須でしょうか?

【渡辺謙】実はあまり関係ないんです。

セリフはスクリプトが送られてくるし、
ダイアローグ・コーチと
次はこういう感じと相談して、
それをトレーニングするだけの
話なので。

英語といっても基本はツールなんです。

それよりも俳優としての
スキルの方がよっぽど重要。

過酷な現場や、
なかなか集中できないような
環境でも常に良いポテンシャルを
提供する、ということの方が
大事です。


――世界を目指す後進への
アドバイスをお願いします。

【渡辺謙】なんでもいいから
まず世界に出ればいい。

行ってみたら足りないところも
見えてくる。

そうすると、日本で仕事をするに
しても考え方が変わる。

どんなツテをたどってでも
行ってみることだと思います。


――渡辺さんは『ラストサムライ』が
転機になったと思います。
そこから海外志向が生まれた
のでしょうか。

【渡辺謙】逆でしたね。
むしろ日本の仕事をちゃんと
やらないとダメだと感じました。

たとえば、日本アカデミー賞を
いただいたりすると、
アメリカのエージェントが
すごく喜びます。

自国でしっかり評価されている
俳優なんだと。

外国の映画賞にノミネートされると
日本の観客に喜んでもらえますが、
その逆もあるんです。

僕は常に日本人としての
アイデンティティを持って、

僕の人生も含めて役に
乗せていくことが僕の存在意義だと。

僕のなかにあるベーシックな
人生観は、今の僕が持っているもの
しか出せない。

だから僕はハリウッド俳優には
なれないですし、なるつもりも
ないんだなあ。


渡辺謙、ハリウッド俳優にはなれない-3.GIF
渡辺謙インタビュー撮り下ろしカット(写真:逢坂聡)


(文/壬生智裕、撮り下ろし写真/
逢坂聡、ヘアメイク/筒井智美(PSYCHE)、
スタイリスト/馬場順子、
衣装/BRUNELLO CUCINELLI)



コンフィデンス5/20(月) 8:10配信

最終更新:5/20(月) 8:10


https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190520-00000309-oriconbiz-ent&p=1
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190520-00000309-oriconbiz-ent&p=2
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映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告

















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