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“夜の2時間ドラマ” 『土曜ワイド劇場』が終焉 エンタテインメントシーンにおける功績とは? [“夜の2時間ドラマ” 『土曜ワイド劇場』が終焉]

“夜の2時間ドラマ” 『土曜ワイド劇場』が終焉 
エンタテインメントシーンにおける功績とは?

“夜の2時間ドラマ”が終焉.GIF
2時間ドラマといえば船越英一郎と片平なぎさ(右)
(C)ORICON NewS inc.

“夜の2時間ドラマ”
最後のレギュラー枠
『土曜ワイド劇場』
(テレビ朝日系)が
惜しまれつつ終了。

4月から午前中2時間の
新ドラマ枠『日曜ワイド』
(同系)が新設される。

これまでに謎解き要素はもちろん、
混浴露天風呂あり、お色気ありで
多くのファンに愛されてきた、
夜に観るべき(!?)

2時間ドラマ枠の実質的な終焉とも
言えるだろう。

かつては『火曜サスペンス劇場』
(日本テレビ系)とともに
“2時間ドラマ”ブームを牽引し、
数多くの名作を排出して来た同枠。

そこから生まれた名優、
名キャラクター、お約束シーンも多く、
印象的なジングルも含め、さまざまな
パロディ作も誕生した。

そんな固定ファンからの熱い支持を
集めてきた“2時間ドラマ”の功績を
改めて振り返ってみる。

◆「断崖絶壁で犯人説得」などお約束の
シチュエーションが誕生

2時間サスペンスドラマの先駆けである
『土曜ワイド劇場』は、テレビ朝日で
土曜午後9時から放送されている2時間枠で、
1977年に90分枠で放送がスタート。

1979年から2時間枠となり、
全25作が作られた
明智小五郎(演・天知茂ほか)が
活躍する『江戸川乱歩の美人』シリーズや、
愛川欽也が32年にわたって
刑事・亀井定夫を演じた
『西村京太郎トラベルミステリー』
シリーズ、
現在劇場版IVが公開されている
テレ朝きっての人気刑事ドラマ
『相棒』シリーズなど、
数多くの人気作を世に送り出してきた。

やがて1981年には日本テレビで
『火サス』が放送開始。
ともに安定したフォーマットが人気を博し、
「断崖絶壁での犯人説得」
「温泉で殺人」
「京都で殺人」など
お約束のシチュエーションが
次々と誕生した。

そんななかで“『土ワイ』らしさ”
として良くネタに挙がるのが、
“午後10時頃に見られるおっぱい”の
イメージで、
これは『火サス』登場1年後の
1982年から始まった古谷一行主演の
『混浴露天風呂連続殺人』シリーズ
(~2007年)が“主犯格”なのだが、
“事件+温泉+おっぱい”の
“『土ワイ』フォーマット”は後年、
『特命係長 只野仁』
(テレ朝系)などでもパロディ化され、
“テレ朝らしさ”としても定着していった。

「基本的にしっかりとした物語展開が
魅力で観ていて安心、ドラマとしても
おもしろい作品が多かったのですが、
80年代後半、トレンディドラマ隆盛と
ともに『古くさい』
『同じネタの繰り返し』などの
ネガティブなイメージで低迷。

この頃は、2時間ドラマに出演する
俳優たちに“都落ち感”が漂うのを
感じた視聴者も多かったと思います。

しかし、サブカル界ではそのクセの
強さで逆に注目を
浴びることになったのです」と
話すのはメディア研究家で多くの
エンタメ記事を手掛ける衣輪晋一氏。

「サブカルがメイン化し始めた1995年頃、
人気漫画家のとり・みきさんと
ゆうきまさみさんがミステリーギャグ漫画
『土曜ワイド殺人事件』を制作。

“2時間ドラマ”のお約束をことごとく
ギャグ化しており、知る人ぞ知る名作に
なっています。

またテレビ界でもその後、
サブカル色の強い脚本・演出家の
宮藤官九郎さんが“2時間ドラマ”
ファンを公言したり、
前出の『只野仁』の
“事件+温泉+おっぱい”など
さまざまな作品でオマージュシーンが
登場したりと、テレビ界でも一般的に。

その最もエポックメイキング的
なものは堤幸彦監督のヒットドラマの
映画化『トリック 劇場版2』
(2006年)でしょう。

“2時間ドラマの女王”片平なぎさを
敵役として起用しており、冒頭から
『土ワイ』を匂わせる演出も。

こうしたネタ的な盛り上がりもありながら、
“2時間ドラマ”は再評価の機運を
高めていったのです」
(衣輪氏)

◆サブカル発の再評価でネタ的な
楽しみ方が一般層にも広がった

“2時間ドラマ”は、かつては
コアな視聴者たちの楽しみであったが、
時代の変遷を経て、ネタ的な楽しみ方も
含めてより幅広いドラマファンが
親しみを抱く作品へと変わっていった。

かつて連ドラ全盛の15~20年前は、
売れっ子俳優がここに出演すると、
微妙に“都落ち感”が漂った。

だが視聴者の意識に変化が起こり、
観方や楽しみが広がったことで、
船越英一郎、
片平なぎさ、
渡瀬恒彦、
本田博太郎など、
ほぼ“2時間ドラマ”で
しか観ることがなかった俳優たちも
今では幅広く活躍。

実力派であることが再認識され、
視聴者の評価も変わった。

また、サブカルでの再発見により、
多くのパロディを生んだ
『家政婦は見た』シリーズの
ようにネタ化がしやすくなっており、
好きだったシリーズについて
一般視聴者でも語りやすい環境が
整っている。

そもそも人気シリーズが多く、
『土ワイ』だけでも、
藤田まこと『京都殺人案内』、
異色の怪奇ミステリー『京都妖怪地図』、
ややエキセントリックな
名取裕子が見られる
『法医学教室の事件ファイル』、
そのほか
『タクシードライバーの推理日誌』
『十津川警部シリーズ』
『炎の警備隊長・五十嵐杜夫』と
枚挙に暇がない。

このタイトルを見るだけで語りたくて
ウズウズするドラマファンも
多いのではないだろうか。

「こうした再評価の流れや、
安定した視聴者やファンが
見込めることもあり、
連ドラ化された
草なぎ剛主演『スペシャリスト』など、
“2時間ドラマ”枠のキャスト陣は
どんどん豪華になっていきました。
“2時間ドラマ”は時代を創り、
時代とともにあり、そして時代に
翻弄された枠だったと言えるよう
にも思います」
(同氏)

テレビで気軽に楽しめる
サスペンスであり、2時間で完結する
スッキリとした構造、昔ながらの
泥臭いベタさ、これらのアプローチを
変えずに続けてきたことで、
サブカル層などから火がついて
再評価を勝ち得た夜のレギュラー
“2時間ドラマ”枠。

連ドラの視聴率苦戦の一方で、
“2時間ドラマ”の人気シリーズは
安定した評価を得ていたかと思うが、
ドラマ視聴者そのものの減少傾向、
バラエティ番組の長時間化など、
時代の流れには抗えず
淘汰されてしまうのか。

一時代を築いてきたレギュラー枠の
“夜の2時間ドラマ”がなくなる
ことへの悲しみの声も思いのほか
大きいように感じられる。

これまでにも特番などでは、
さまざまな“2時間スペシャルドラマ”が
放送されるている。

今後はそういったショットの扱いで、
かつてのフォーマットの
“夜の2時間ドラマ”が観られることも
あるのだろうか。

新たに新設される日曜ワイドにも
期待しつつ、これまでの作品を
改めて振り返ってみるのも
いいかもしれない。

(文:西島享)

オリコン 2/26(日) 8:40配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170224-00000367-oric-ent




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