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「大河ドラマ」時代考証者が「男性説」に反論…「直虎が女性だった」と断言できる根拠〈dot.〉 [「大河ドラマ」時代考証者が「男性説」に反論…]

「大河ドラマ」時代考証者が「男性説」に反論…
「直虎が女性だった」と断言できる根拠〈dot.〉

柴咲コウ3.GIF
NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」で井伊直虎を演じる柴咲コウ
(c)朝日新聞社

NHK大河ドラマ
「おんな城主 直虎」は、
初回から4週連続で主人公の
幼少期が描かれる。

子役の登場回数がここまで
多いのは、近年の大河では珍しい。

子役の新井美羽ちゃん(10才)演じる
「おとわ(井伊直虎)」の毅然とした
振る舞いからは、領主の娘として
生きる自負が伝わってくる。

のちに井伊家を背負って
「おんな城主」となる
決断を予想させる熱演だ。

ところで昨年12月、
大河ドラマの筋書きに影響を
与えるような発見があったのを
ご存じだろうか? 

井伊家の史料を収集する
井伊美術館(京都市東山区)が
新たに確認した文献史料を公表し、
「直虎を名乗ったのは女性ではなく、
いとこにあたる別の男性だった
可能性がある」と発表したのだ。

「直虎」の時代考証を担当する
静岡大名誉教授の小和田哲男氏に、
見解をうかがってみた。

はじめに通説をおさらいしておくと、
「直虎=おんな城主」のベースと
なっているのは、
井伊谷城主・井伊直盛の娘が
出家して次郎法師を名乗り、
のちに後継者「直虎」となり、
徳川家の重臣となる井伊直政の
養母となったという説である。

直虎本人の存在を示す史料は
『井伊家伝記』や、のちに
江戸幕府が出させた
『寛政重修諸家譜
(かんせいちょうしゅうしょかふ)』
など8点しか残されておらず、
なぞの多い人物である。

新説の根拠として確認された史料は、
『守安公雑秘説写記
(もりやすこうざつひせつしゃき)』
(全12冊)。

今川義元の子・氏真の配下にあった
井伊家について、井伊谷の領地が
直盛の義理の兄弟・新野左馬助親矩
(にいのさまのすけちかのり)の
“おい”にあたる井伊次郎に
与えられたとの記述があった。

小和田氏は、新史料によって
新たに浮上した「直虎=男性」説に
反論している。

理由は主に次の3点だ。

・史料は聞き書きなので、
江戸時代の井伊家の家臣にこうした
伝承があったといったことは
分かっても、信憑性は薄い。

・仮に、新野左馬助親矩のおいが
井伊次郎を名乗ったとしても、
新史料で「井伊次郎=直虎」と
いう記述はない。

・井伊氏の惣領の
仮名(けみょう)は代々、
「次郎」で、だからこそ、
龍潭寺(りょうたんじ)の
南渓和尚も、惣領直盛の一人娘の
出家に際し、次郎法師という名を
与えた。
次郎法師がいるのに、別の人間が
次郎を名乗るとは考えにくい。

新たに見つかった史料が
1735年(享保20年)に
編集されたものである点から
小和田氏は、
「江戸時代の人にとっては
“おんな城主”の存在を
考えにくかったのでは? 
大名の無嗣断絶の例が多く
“家督は男が継ぐ”という
先入観があり、このような伝承が
できたとも考えられる」と指摘する。

そのうえで、あらためて
「次郎法師(直虎)が一時的に
ではあれ、井伊谷を支配して
いたことは次郎法師の
印判状(『龍潭寺文書』)の存在に
よって明らか」と、
「直虎=おんな城主」説を力説した。

「戦国時代、女性が家督を継いだ
例は少なくない。
赤松政則の妻・洞松院尼
(とうしょういんに)、
今川義元の母・寿桂尼(じゅけいに)、
岩村城主・遠山景任の正室などがいる。

合戦で多くの男性が亡くなった
時代である。

“おんな城主”は正式な跡取りと
いうより、後継者が幼かったり、
病弱だったりするなど、
それぞれのお家事情があって
背に腹は代えられず、
女性のリーダーでしのがざるを
得なかった結果。

いわば“中継ぎ”であり、
直虎もそうだったと思われる」
(小和田氏)

小和田氏が「直虎=おんな城主」と
いう説を初めて公表したのは、
四半世紀前のこと。

静岡県の旧引佐町が浜松市に
編入合併される前、引佐町史の
編纂に調査委員として携わり、
直虎についての研究成果を
まとめた文章を掲載した。

その後、いろいろな場で直虎に
ついて紹介してきたものの、
地元浜松でも直虎の認知度は高くない。

小和田氏は
「直虎=男性」という新説に
反論しながらも、論議が
起こったことを歓迎している。

「面白い史料であることは
間違いないので、論文や史料紹介の
形で発表されたのち、多くの研究者に
よって議論が深まることを期待する。
昨年は大河ドラマ『真田丸』の
おかげで真田幸村に注目が集まり、
新しい史料が見つかった。
直虎も脚光を浴び、研究が進めば、
人物像は肉付けされていくに違いない」
(小和田氏)

ドラマは第4回の終盤から、
子役に代わって柴咲コウが登場する。

予告編などで見る馬上の姿は凛々しい。

「『ベルサイユのばら』の
オスカルように、男装の麗人
としてふるまい、時には男性と
思わせることは可能だったのか?」
と聞いてみると、
「領内を巡る機会があるので、
領民には真相を知られてしまうだろう。
ただし、書状をやりとりするだけの
他国の大名に対して男性として
ふるまったことは大いに考えられる」
(小和田氏)とのこと。

“ベルばらのオスカル”と異なるのは、
直虎が家臣を率いて領地を守り、
激動の時代を生き抜いたことだ。

婚約者だった井伊直親の
遺児・直政の養母となり、
井伊家の領主にふさわしい
後継者へと育て上げる。

直政は、のちに徳川家康の家臣
として江戸幕府の樹立に貢献し、
井伊家は初代直政から最後の
当主直憲まで14代にわたって
一度の国替えもなく彦根を治めた。

“中継ぎ”としての
直虎がいなければ、
のちの井伊家の隆盛は
なかったのである。

小和田氏の力説を聞いて身近な女性と
イメージが重なった。

彼女は
「中小企業の社長である父が
亡くなって、後継者も未熟だったこと
から、一人娘の自分が経営者と
なって会社を立て直し……」と
いう身の上だ。

「現代に通じるテーマ。
女性が活躍する社会だから、
今の女性の心に響くだろう」と
小和田氏。

事業の継承という現代的な視点を
加味すれば「直虎=おんな城主」と
いう説が、より深く納得できる。

(ライター・若林朋子)

dot. 1/29(日) 11:30配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170126-00000151-sasahi-soci


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