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19年目にしてなおもライヴの動員を増やし続けるaiko。ファンを虜にするその”絶妙な距離感”とは? [aiko ”絶妙な距離感”とは?]

19年目にしてなおもライヴの動員を
増やし続けるaiko。
ファンを虜にするその”絶妙な距離感”とは?

aiko.GIF

デビュー19年目に突入したaikoの
全国ツアー「Love Like Pop vol.19」が、
9月16・17日の東京・NHKホール公演で
ファイナルを迎えた。
5月に発売したアルバム『May Dream』を
引っ提げてのツアーは、
4か月で18か所34公演行い
9月16日のNHKホール公演を観たが
6月5日に同じNHKホールで観たライヴとは、
全く違うものだった。

セットリストをマイナーチェンジしたこと
もあるが、全国を回り、たくさんのファンと
触れ合うことで彼女の中に
「もっともっと想いを伝えなければいけない」
という想いが、エネルギーとなって
溢れ出たかのような、熱さとせつなさを感じた。

aiko1.GIF


9月16日は、翌日のファイナル公演を控える中で、
NHKホールでの単独公演数が通算40回目と
いう節目でもあった。

アリーナツアーをやることも多い彼女だが、
やはり何よりも大切にしているファンとの
距離を考え、そして歌と音を少しでもいい
音で届けたいという気持ちから音響面も考え、
この会場が東京のホームグラウンドに
なったのではないだろうか。

この日も座席をつぶして花道を作り、
少しでもファンに近づこうとしていた。

NHKホールに花道を作るアーティストは、
あまり聞いたことがない。
これもファンへ想いの表れだ。

通算12枚目のオリジナルアルバム
『May Dream』の
オープニングナンバー「何時何分」から
ライヴはスタート。
『May Dream』からの曲を軸に置きながら、
新旧のヒット曲、ライヴでは久々に
披露する曲などで構成された
セットリストで28曲。

3時間半、aikoとファンはいつもと
変わらないとにかく近い、
でも近いだけではない
“絶妙の距離感”で過ごした。

その内容の濃さに、改めて彼女のライヴの
“顧客満足度”の高さを感じた。

ライヴ会場を後にするファンの満足げな
笑顔がそれを物語っている。

詳細なライヴレポは各音楽サイトに
任せるとして、今回のライヴを観ながら、
デビュー19年目に突入してもなお
多くの人を惹きつけ、なぜ若いファンを
どんどん取り込むことができているのか、
その人気の秘密を改めて考えてみた。

もちろん彼女が書く曲の良さは
いわずもがなだが、やはりライヴの
良さが新規ファンを開拓、
獲得できている最大の理由なのだ。

“絶妙な距離感”と書いたが、
これこそがaikoのライヴの最大の武器だ。

彼女はライヴでは、とにかくファンとの
会話を楽しむ。

ファンも彼女と会話がしたくてライヴに来る。

まるで久々に会う友達に近況報告をするように、
どんどんaikoに話しかける。

aikoもそれを拾う。

こんな芸当ができるアーティスト、
他にはいない。

ライヴの定番コーナーに、
ピアノの弾き語りコーナーがある。

これはaikoがファンからお題をもらい、
即興で曲を作るというもので、
手を挙げたファンを指名する時も、
例えば
「3Fの○色のTシャツを着て、
タオルを首にかけたメガネの女子」
といったように、彼女は驚異の視力で
ステージから遠いファンの容姿を
しっかり説明し、指名する。

ちゃんと見えているということを
ファンに伝える。

ファンはこんな嬉しいことはない。

どんなにステージから遠い席でも、
自分の事を見てくれているんだと、
モチベーションがあがる。

だからより一生懸命ライヴに参加しよう、
楽しもうとして、するとライヴは自ずと
熱を帯び、その熱にaikoも乗せられ、
ライヴはさらにヒートアップし、
いいものになる。

ファンはいいライヴを観ると、
また誰かを連れて来たくなる。

そうやってaikoはライヴの動員を増やし続け、
チケットが入手困難な状態になっている。

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ちなみにこの日はファンからもらった、
「10月9日結婚式」
「復縁」
「おデコが狭い」
「受験生」
「ひげが濃い」
「腹筋」という、
6つのキーワードを織り込んだ詞と
メロディを作り、見事な1曲に仕上げた。

当たり前だが誰がどう聴いても
aikoの曲になっている。

その完成度の高さに、
このコーナーで完成した曲のCD化を
望むファンも多い。

ここでaikoは圧倒的なその才能を
“見せつける”。
もちろん本人には“見せつける”など
という気持ちは毛頭ない。
サービスで披露しているわけだが、
CD化されている音源以外の曲を
その場で作って、いわば企業秘密でもある
曲作りのシーンも全て見せ、
しかもわずか1分程で作り上げた
曲のクオリティの高さに驚かされる。
そしてそれはその日その場限りのaikoと
ファンとの思い出の曲になる。

そこにいる誰もが、aikoの圧倒的な才能に、
憧れと尊敬の気持ちを改めて抱くことになる。

手が届きそう、届いているけど、
圧倒的な憧れであり、尊敬できる関係。

これが“絶妙な距離感”だ。

アルバム『May Dream』は、
いつもにもまして、内省的な世界観に溢れ、
aikoが過ごしてきた時間、日常が伝わってきて、
それが誠実さとせつなさとして胸に残る。

聴き手は自分の経験と照らし合わせ共感し、
これから恋をするであろう若いファンは、
まだ見ぬ恋人と、自分が恋をする姿を想像し、
せつなさを覚える。

いつの間にかaikoの歌詞の行間に、
自身が入り込んでいる。

これも”絶妙な距離感”だ。

そんな感情を抱かせてくれるのと同時に、
今回のアルバムは壮大なスケール感も
感じさせてくれる。

「あたしの向こう」
「夢見る隙間」
「プラマイ」
「もっと」という4枚のシングルが収録され、
メジャー感をより感じるからかもしれないが、
それ以上に新鮮さを感じさせてくれる
楽曲が多い。

彼女が紡ぐ言葉ひとつひとつが、
非常にドラマティックでそれが一枚の
集合体になり、スケールの大きさを
感じさせてくれるのだろうか。

もちろんアレンジの影響もあるだろう。

今回のライヴでもやはりスケール感を感じ、
同時に切なさとそして、アグレッシヴで
エモーショナル、aikoが放熱する
エネルギー量の凄まじさを体感した。

それはライヴ後半のMCでのaikoの言葉にも
表れている。

「色々なことをみんなの心に刻みつけて、
もう傷になって消えないくらいになれば
いいと思っています」。

全力でライヴに臨み、それだけではなく、
とにかく自分と過ごした時間を忘れて
欲しくないと、自分の証をそこにいる
全ての人に心に刻み付けてもらおうと、
もの凄い熱量で想いを届け続けていた。

そしてアンコールでも、
「今回のツアーは自分の中ですごく
がむしゃらな、前のめりなツアーでした。
すごく昔に喉を壊したことがあったんやけど、
それ以来普通に歌ってても、
心の中ではビビりながらやっていて。
そこから抜けるのに8年くらいかかったんです。
でもいろんなライヴをやってみんなに逢えて、
自分が楽しんでやらないとみんなに
伝わらないなと思いました」
とメッセージを伝え、
喉を壊したことがトラウマになり、
それを抱えながらも懸命にもがき続けてきた
胸の内を正直に明かした。

自分の歌とライヴを待っていてくれる
ファンがいたからこそ、長年抱えていた
不安は勇気に変わり、19年のキャリアが
改めて導き出した答えが、自分がめい
一杯ライヴを楽しむことだった。

その気持ちがライヴにそのまま
表れていたからこそ、
エネルギッシュで気迫溢れる3時間半
だったのだ。

さらに“高み”を目指すaikoの物語は、
まだまだ続くと大きな期待感を
感じさせてくれ、次のライヴを
早く観たいと思わせてくれるライヴだった。

aiko3.GIF

そしてツアー終了後の9月21日には、
ライヴでも披露した36枚目のシングル
「恋をしたのは」を発売した。

話題の映画『聲の形』の主題歌として、
映画の感動をさらに深いものにし、
伝えてくれている。

静かなピアノとボーカルで始まり、
ストリングスが流れて来る頭から、
せつないaiko節が炸裂していて、
いきなり心を鷲づかみにされる。

aikoはこの曲について
オフィシャルインタビューで
「初めても最後も今もずっと
あなたに感謝しているっていう曲を
今回は書きたかったんですよね。
この人に一生ついていけばいいんや
なっていう決心とも言える大切な
フレーズ――
<迷わぬように歩いていける
たったひとつの道標>
書けたことは自分にとっても
すごく重みがありました」
と語っていて、
この曲が自身の中でも大きな存在に
なっているようだ。



田中久勝 | 音楽&エンタメアナリスト

2016年9月25日 21時1分配信


http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakahisakatsu/20160925-00062554/
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